皆さん、こんにちは。
発達心理サポートセンターの心理士/カウンセラーの車重徳です。
さて、こんな質問を頂きました。
「うちの子は友達に強く言われると言い返せません。どうすればよいのでしょうか?」
というものです。
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言い返せないというのはいくつかパターンに分かれます。
頭の中で言いたいことが浮かんでいるのか、もしくは浮かんでいないのかということが考えられます。
頭の中で言い返したい内容を浮かべるためには、色んな能力が実は必要です。
まずは、相手が発した言葉を脳の一部に記憶として保持しなければいけないです。
相手が発した言葉を脳の一部に記憶として保持するというのは、聴覚の短期記憶が必要という事です。
そして、相手が発した言葉を脳の一部に記憶として保持しながら、その意味、内容を理解します。
意味や内容を理解するのに、単語力が必要です。
難しい単語で、ののしられたとしても意味わからないから全然気にならないと思います。
しかし、意味が分からないと気にもなると思います。
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相手が発した言葉に指示代名詞や暗喩隠喩がもし入っていれば、例えばお母さんであれば、
「あんた、あの時のあれ早くしなさいよ。」
“あの時のあれ“は何でしょう。わかりませんよね。
後は一般常識がずれると、そもそも何を言っているのかよく分からないです。
何を言っているか分からないから、言い返せないということもあるのではないかと思います。
そして、相手が発した言葉をちゃんと理解し上で、自分の言い分を組み立てられるのかどうかです。
自分の言い分というのは、自分自身これはこうだと一般常識が必要です。
そのためには、その子自身、自分自身が、一般常識をベースとした自分の考えがまず必要です。
何も考えがなければ、言うがまま、されるがままになってしまいます。
自分自身にこれはこういうものだというのがあると、返すことができます。
まずは、これがあるのかという話になります。
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そして、相手が発した内容と自分が、これはこうなんだという見解が違ったときに、その違いを反応するんです。
頭の中で自分の考えと相手の考えが、何がどう違うのかを把握する力がありますか。
これはWISC4検査の内容で言うと、知覚統合というPRIという項目になります。
そこもあるのかということも考えていかなければなりません。
そして、頭の中で、違うじゃないか!と自分の言い分はこうだとまとまったのであれば、それを言語化します。
思うに考えるで思考の言語化といいますが、言語化するときにまた単語力が必要になります。
だから、それらの能力ってそもそもあるんですかという話です。
あるのであれば、場数が足りないです。
要は、勇気が足りない場合もあれば、場数が足りない場合もある。もしくは何か言われたら頭の中が真っ白になるケースもあります。
真っ白になるケースも場数もしくは、無意識化で言えるようにするかです。
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こんな練習をしたこともあります。
かわいい女の子がいて、男の子にいじられます。
すごくおとなしくて、強い口調で何か言われても怖くて何も言い返せなくなっちゃいます。
僕はその子のカウンセリングをしていました。
最終的にどうしていったかというと、言い方は悪いのですが、簡単に言うと指を鳴らして
「お前、まじでうざいんだよ。消えろよ。」みたいな感じで言わせます。
それを瞬時に女の子に言わせていたことはあります。
その子は言えるようになりました。
練習の時は、上記のセリフを言っていましたが、また、誰もいないところで男の子にちょっかいかけられて言われた時でも「うるさいから黙っててよ。」くらいは言えるようになったそうです。
頭の中で言いたい内容が浮かんでいるのであれば、場数や慣れが必要になります。
慣れが必要だからと言って、そういった舞台に立たせ続けようとするのは逆効果です。
例えば、人前で話すことを慣らすために千人の前で講演する練習をずっとさせますか?
逆にそれを失敗してしまうと自分に自信を無くしてしまいます。
自己肯定感が落ちてしまいます。
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まずは、スモールステップで成功体験を積ませていくのが必要です。
考えるべきことはお伝えしたように、自分の考えをそもそも持っているのか、頭の中で浮かべることができますか、相手の話を聞いたうえで、理解したうえで言いたいことをしっかり言えるのかをそもそも考えてください。
もし、それができてるのであれば、言い返す練習をスモールステップでやってみてはいいんじゃないかなと思います。
何も思い浮かばないのであれば、知能を上げるしかありません。
何を言っているか分からなくても感情的に自分にとっていい内容か悪い内容かをくみ取ることはできると思います。
悪い内容であれば、なんだか意味分からないけど、僕がカウンセリングしていた子のように「うっせんだよ。消えろよ。」くらいの何かがあってもいいかもしれません。
これは、友達関係を継続したいのか、壊してもいいのかでまた変わってきます。
お友達関係を継続させるのであれば、アサーショントレーニングがあります。
自分の考えや気持ちを正確に伝えましょうという手法があります。
このテクニックは後天的に身に着けることができます。
またどこかで詳しくお伝えできればと思います。
いかがでしょうか。
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発達心理サポートセンター
心理士/カウンセラー 車重徳