皆さん、こんにちは。
発達心理サポートセンターの心理士/カウンセラーの車重徳です。
今回は、こんな質問を頂きました。
「うちの子は切り替えができません。どうしたらいいんでしょうか。」
というものです。
今回は、この質問にお応えいたします。
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そもそもWISCという検査をご存じでしょうか?
WISCってウェクスラー式知能検査と呼んだりするものですが、
この検査を勘違いしている人が多いです。
発達障害を診断するための検査ではないんです!
発達障害を診断するためではなく、何のために検査するのかっていうと
その子が何ができて、何が苦手なのかっていうのを判断するための検査なんです。
なぜ、何が苦手なのかっていうのを確認するのかというと…
例えば今回は切り替えができない子っていうお話ですが、
その切り替えができない原因って何だろうかと、その原因を追究することが実際できるんです✨
例えば切り替えができない子で考えると、
どんなことが考えられるのかっていうのをお伝えしていきましょう。
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WISC4という検査はVCI(言語理解指標)、PRI(知覚推理指標)、
WMI(ワーキングメモリー指標)、PSI(処理速度指標)という4つの指標があります。
その中で、PRI(知覚推理指標)というところに関係しています。
そもそも切り替えができない子は必ずではないですが、PRI(知覚推理指標)は低いことがあるんです。
知覚推理指標が低いということは、
場の空気を読むことが苦手だったり、
先の見通しを立てることが苦手だったりするケースがあります。
”場の空気を読むことが苦手だと、なぜ切り替えができないのか?”
切り替えの際に切り替えたくないって大暴れする子もいます。
場の状況に合わせられない子もいます。
なぜ大暴れしてしまうのか、なぜ合わせられないのかというと、
そもそも場の空気を読めていないから、自分がいまどういう状況なのかっていう事を
そもそも把握するのに時間がかかるんです。
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例えば皆さんで言えば、想像してください。
目隠しをされて、
どこか遠くに連れて行かれた…。
目隠し取ったら誰もいない、誰も知らない、辺鄙な山の頂だったらどう思いますか?
一瞬何が起こったかわからなくなって発狂しませんか?
知ってる人だれもいないとか、何にもわからない、
辺鄙な場所に連れてこられたら、いったい何が起こったんだ、
何が何だかわからなくてパニックになると思うんです。
場の空気読めないっていうのは、もしかしたらそういう傾向があるかもしれないです。
だから、場の空気を読めないことによって、場面が変わると切り替えができないので
↓
その場面の状況が理解できないから一瞬軽くパニックになる
↓
それで暴れる
という可能性があるんです。
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または、PRI(知覚推理指標)の中には、
先を見越す力っていう力を見ることもできます。
その先を見越す力とは、
例えば、今自分がどういう状況で、
この後どんなことがやってくるのかっていうのが想像がつかないのです。
想像がつかないから、人は想像つかないことって恐怖を抱きます。
この先どうなるか分からないから怖いんです。
先の未来が分かっていれば、そこまで恐怖って実は増大しないんです。
見えない未来が怖いんです。
もう未来が分かっていれば、たとえ不幸だったとしても、あんまり怖くないんです。
たとえ嫌なことだったとしても、心構えができるんです。
でも、何がどう起こるかわからないから怖いんです。
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真っ暗闇のトンネルを思い浮かべてください。
真っ暗闇のトンネルの中、歩いて向こうに行かなければいけない。
でも、真っ暗闇だから何も見えません。
床がどうなっているのか、
地面がどうなっているのか、
壁がどうなっているのか、又は行き止まりかもしれません…。
本当に出口に向かえているのか、怖いですよね?
何も見えない。
何も見えないから怖い、何もわからないから怖いんです。
だから、先の見通しを立てられないから、
どういう事が起こりえるのかっていうのが全く想像つきません。
そしてたどり着いた場所、いわゆる場面の切り替えが新たに起こった際、
全然よくわからないような状況であれば、それはパニックになりますよねっていう事です。
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他に考えられるのが、こだわりが強すぎる子です。
”こだわり”は、あくまで特性というよりは、
その子の持っている癖みたいなものなので、知能検査などであまり出ないケースがあります。
そのため、こだわりが強くて今の場面にずっといたいっていう、変なこだわりといえます。
人間てそもそも変化を嫌う動物なんです。
もっといえば、なぜ人間て変化を嫌う動物なのかというと、脳の仕組みに関係しています。
人間の脳というのは楽したいと思っているんです。
楽な方、楽な方に行きたいと思っています。
だから、人間がサボるっていうのは、
脳の仕組み的に考えると、簡素化したいんです。
なぜかというと、その方が消費エネルギーが減るからです。
例えば縄文時代とか思い浮かべてください。
いつ、マンモスだとか獣の肉を、手に入れられるかわからないじゃないですか。
なるべく、消費エネルギーを少なくしなくちゃいけないんです。
少ない労力で獲物を仕留められたら、一番いいじゃないですか。
少ない労力っていうのが大事なんです。
ということは、いわゆる、今、現代的にいう楽なんです。
脳科学的に人は楽したいと思っている生きものなんです。
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それが今でこう慣れ親しんでしまうと、
状況が変わると楽ができないかもしれないし、どういう状況かもわからないから、
切り替えができないとかっていう変なこだわりになる可能性も0じゃないんです。
このように、様々な観点からとらえることができるんです。
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では、どうすればいいのかというと、
1つ目は
常日頃どういう事が想定されるのか、ひたすら入れ込むしかありません。
こういう場面はこうなる、こういう場面はこうなるって入れ込むしかないんです。
そして、自分で考えられないから、さらにその先どうなるかっていうところまで
入れていくんです。
2つ目は
場の空気を読むトレーニングとか先の見通しを立てることが
できるようになるためのトレーニングをすることです。
実はトレーニング方法はあるんです。
大人でも場の空気を読めない人いますよね?
知らないだけでトレーニング方法あるんです。
いずれご興味ある方は、そういったこともお伝えしていきたいと思います。
いかがでしょうか。
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発達心理サポートセンター
心理士/カウンセラー 車重徳