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125【人間関係】#10会話ができない

 

皆さん、こんにちは。

 

発達心理サポートセンターの心理士/カウンセラーの車重徳です。

 

さて、こんな質問を頂きました。

「うちの子は会話ができません。どういうことでしょうか?またはどんなサポートをしたらいいでしょうか?」

 

というものです。

 

 

 

 

会話ができないというのはそもそもどういうことなのかというのを考えていきましょう。

 

まず会話自体を要素分解していきます。

会話ができないというのを、どのように要素分解するのかというと、

そもそも会話ってどういう能力が必要なのかっていうのを読み解くんですが、

言い換えると対話(conversation)ってどういうことかというと相手が発した言葉を脳の一部に保持するんです。

 

相手が発した言葉を脳の一部に記憶として保持するので、

まずは耳で聞く短期記憶っていうのが必要です。

 

もし、この短期記憶がなかったら相手がしてきた質問に対しての回答をする際に、

相手が言った内容を忘れちゃうから全然意味不明なことを回答するってことになるんです。

 

まずは相手が発した内容を聞き取らなくてはいけないので短期記憶が必要です。

WISCという検査で言うと、WMI(ワーキングメモリー)というのがまず必要になるんですが、

まずはワーキングメモリーという数字がありますかという事なんです。

 

 

 

 

相手が発した言葉を脳の一部に記憶として保持する、その内容を理解しなくてはなりません。

その内容を理解するときに、どんな能力が必要かというと、まず単語力が必要です。

WISCでいうとVCI(言語理解指標)の単語という項目があります。

これは当該年齢レベルの単語力がありますかという数字になります。

 

そして、今度は相手が発した内容の中に、指示代名詞や暗喩、隠喩が入っていた場合です。

実際にこの指示代名詞や暗喩、隠喩はWISCVCI(言語理解指標)の中の類似という項目になります。

 

例えば、親子の会話とかだとお母さんが子供に

「ちょっと、あそこのあれを片付けておいで。」って言ったときに、

 

あそこのあれってわかりますかっていう話です。

あそこのあれって何?って普通なるかと思いますが、あそこのあれが分かりますかっていうのがWISCでいうVCI(言語理解指標)の類似になるんです。

 

 

 

 

そして、相手が発した内容を読み解く際に一般常識というのが必要です。

一般常識がずれると、会話ってかみ合わなくなります。

                                                                                                              

例えば、福祉とか教育の中でも特別支援の領域であれば、

お母さんとの会話の中で「お子さん手帳持ってますか。」って話になったときに、

手帳って聞いたら通常はカレンダーが書いてあるスケジュールを書き込むあの手帳だと

思うと思います。

 

でも、福祉や特別支援の領域で手帳というのは、所謂3種類ある障害者手帳を指すんです。

 

障害者手帳は3種類ありまして、まず身体障害者手帳、次に精神疾患が主の精神保健福祉手帳、

正式には精神障害者保健福祉手帳なんですが精神手帳と、最後に発達障害とかに出る養育手帳です。養育手帳って東京都だと愛の手帳と呼んだり、埼玉県だと緑の手帳と呼んだりと別名がついていることもあります。

 

もし中学生同士の会話だと、「手帳持ってる?」っていったら生徒手帳を指しますよね。

だから、実際に一般常識ってどこに身を置くかによって一般常識って変わるんです。

 

このように、相手が発した言葉は一般常識の有無によって、やっぱりシチュエーションで使われる意味って変わるんです。

その一般常識がありますか?っていうのは、WISCでいうと、VCI(言語理解指標)の中の理解という項目になります。

 

 

 

 

そして、相手が発した言葉の意味を理解したうえで自分の考えと同じだなと思ったら、

同意というフィードバックをしますよね。フィードバックせずに、ただ聞くだけだと、

会話ではなく、講義ですよね。なので、フィードバックが必要です。

 

そして、相手が発した言葉の内容と自分の考え、これを比較するんですよね。

PRI(知覚推理指標)っていうのがあるんですが、知覚推理指標で比較する能力っていうのを見ることができるんです。

相手が発した内容と自分の考えに差があった場合、その差が自分の発したい内容になるんですが、その差はもやもやっと、こんなことが異なっているなと思うと思います。

それを頭の中で話し言葉になるように、並べ替えなくてはなりません。

 

その並び替えるっていう能力が何なのかというと、並べ替えるのもWISCでいうPRI(知覚推理指標)っていうところになります。頭の中で自分の話したい内容を並べ替えたら、

今度はそれを言葉に置き換える必要があります。

 

これは頭で思い描く事、所謂思考です。思考の言語化って言いますが、

事項の言語化する際に今度はまた、単語力が必要になります。

 

 

 

 

そうすると、色んな能力が会話をする際に必要になります。

 

なので、もし会話ができないっていう風にお考えなのであれば、

2つあって、まず1つ目はその子が何が足りないのか、単語力が足りないなら単語入れましょうですし、頭の中で情報を比べる力が低いのであればそのトレーニングをしましょうだし、

短期記憶が低いのであれば、短期記憶を鍛えましょうってなります。

 

もし、鍛えられないのであれば、

鍛えるのと同時にその子に対して何が不足しているのかっていうのを、

こちらが察してあげたうえでの会話をしなければならないです。

 

だから、例えば、指示代名詞とかが分からないのであれば、指示代名詞を使わないで説明してあげるだとか、単語力が低いのであれば分かっている語彙に置き換えて話したりなど、

そういったサポートをしてあげてもいいんじゃないかなと思います。

 

何度も言うように発達障害は発達しないわけではありません。

 

発達するんですが、その発達っていうのは周りの子供に比べて少し遅いだとか、

または独特の特性を持った発達っていうのを考えられるんです。

なので、トレーニングをやれば、効果は出ます。ただ、中々出にくいこともあるので効果が出ないと、やっぱりトレーニングし続けるのは厳しいです。

 

そこをどうトレーニング続けていくのかというと、テクニックになりますし、

楽しくやっていかなければならないということになります。

 

 

 

いかがでしょうか。

 

 

 

 

発達心理サポートセンター 

心理士/カウンセラー 車重徳

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