皆さん、こんにちは。
発達心理サポートセンターの心理士/カウンセラーの車重徳です。
さて、こんな質問を頂きました。
「自分の武器を見つけなければいけないと思いますが、なぜ武器が必要なんでしょうか?
どんなメリットがあるのでしょうか?教えてください。」
というものです。
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自分の武器を見つけるって大変ですよね。
武器って中々見つからないと思います。
このお話知っていますか?
モリス君の話というのをしたいと思います。
アメリカのとある小学校にモリス君という男の子がいました。
小学校のある教室でネズミを飼っていました。そのネズミがある日ぬけだしてしまいました。昼間子供たちがいるのですが、夜子供たちが帰ってしまった後にどうやら抜け出してしまったのではと思います。
朝学校に登校してきたら檻の中にいません。
そこで先生はこう言いました。
「みんな、ネズミが抜け出しちゃったわ。今すぐネズミを探しましょう。」
みんな一生懸命教室中を探しました。
しかし、探しても探してもネズミは見つかりません。
子供たちはブーブー言います。
「もうネズミいないんじゃないの。どっか外行っちゃったんじゃないの。」
しかし、先生は「いえ、扉はしまっていたから必ずネズミはこの教室にいるはずです。ちゃんと探しましょう。」
と言って子供たちに探すことを継続させます。
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しかし、探しても探してもネズミは見つかりません。
また、子供たちがブーブー言い出した時に、先生はこう言いました。
「そうだ。モリス君に探してもらおう。モリス君だったらきっと見つけられるわ。」
子供たちはこう言いました。「えー。先生モリスなんか無理だよ。見つけられるはずないよ。」
子供たちはブーブーいいます。
なぜ、子供たちはそういったのでしょうか?
実は子供たちがそう言ったのは訳があります。
モリス君は目が見えなかったのです。
全盲だったのです。
先生はこう言いました。
「目が見える君たちが見つけられないなら、モリス君でこそ、モリス君なら見つけられるかもしれない。」
ブーブーいう子供たちは廊下に出しました。
そして、子供たちには音を立ててはいけません。静かにしているよう強要しました。
クラスにはモリス君一人だけにしました。
扉はピタッと締まりました。
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それからモリス君一人で5分、10分、15分くらいでしょうか、それくらい時間がたったころ、教室の扉が開きました。
モリス君がそこに立っていました。
そしてモリス君は手を重ねていました。
何と胸の前で重ねたての中から逃げ出したはずのネズミが出てきました。
そこでクラスのみんなは言います。
「モリスすげー。なんで見つけられたんだよ。」
クラスのみんなはモリス君を褒め称えます。
やっとモリス君はクラスの一員になれました。
ずっとモリス君は寂しかった。一人ぼっちでした。
なぜなら、全盲だから本も読めない、テレビも見れない、外で友達とサッカーできない、野球もできない、バスケもできない…。
ずっとずっと一人ぼっちでした。
すごく寂しかった。
でも、やっとクラスのみんなが認めてくれたような気がしたのです。
そこで先生はモリス君にこう言いました。
「モリス君、君の目は多分一生見えないでしょう。一生見えるようにはならないと思います。でも君には誰も聞き取ることができない音を聞き取ることができる。そのすごい武器があります。そのすごい武器、聴力・聴覚を生かして君は一生生きて生きなさい。そこが君の武器なんです。」
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そして月日は流れました。
一人ぼっちだったモリス君たくさんの仲間ができました。
モリス君は世界を代表するアーティストになりました。
目が見えないアーティスト。
モリス君は世界名だたる音楽家のスティーヴィー・ワンダーです。
彼はこう言います。
「小学校の時に先生が自分の武器は聴覚だということを教えてくれなかったらきっと生きていなかったと思う。それくらい毎日がつらかった。」
スティーヴィー・ワンダーは小学校の先生に目が見えない代わりに誰も聞き取ることができない音を聞き取ることができる、その武器を教えられた。
だからこそ、著名なアーティストになることができたのです。
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さて、発達障害の子など様々な特性を抱えた子はたくさんいます。
その子供たちにどんな武器を見つけてあげますか?
自分自身では気づかない武器がその子にあるはずです。
その武器を見つけてあげるのが我々大人ではないでしょうか?
私は心理士として、教員としてたくさんの悩みを抱えた子供たちの武器を見つけて上げれればと思います。
ぜひ、皆さんも一緒に困っている子供たちの武器を見つけてあげましょう。
私自身いつでも協力します。
いかがでしょうか。
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発達心理サポートセンター
心理士/カウンセラー 車重徳