皆さん、こんにちは。
発達障害ラボ室長の車重徳です。
さて、こんな質問を頂きました。
「私は小学校の教員をしています。気になる子がいてWISC4検査を取らせたいのですが、なんて言って取らせれば良いのでしょうか。教えてください。」
というものです。
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僕は、とある自治体の教育長の方とお話ししていた時があって、その方も分かってくれました。
全ての子供にWISC4検査を取らせた方がいいよねっていうのが、僕の考えです。
なぜかと言うと、例えば、PSI(処理速度指標)が低い子って必ずいると思います。
PSI(処理速度指標)が低い子だけを集めたクラスを作っちゃうと、教える方はめちゃめちゃ楽です。
要は、みんな書くのが遅いわけです。
だから、困るのは書くのが早い子です。
遅い子がいると、書くのが早い子は時間持て余しちゃうし、書くのが遅い子は書き終わんないからです。
不登校の3要件について、以前お伝えしたかと思いますが、不登校になる可能性が上がります。
誰も不登校作りたいとは思っていないと思います。
いないに越したことはないです。
でも、処理速度が低いと、PSIが低いと、不登校になる可能性出ちゃうよねって話です。
だから、取れるなら取った方がいいです。
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僕も発達障害でADHDです。
ずっと、アスペルガーって言われていたので、もし、僕も取れるなら取りたかったなと思います。
今は取り方を教える側にまで回っちゃっているので、答えは頭の中に入っているから、WISC絶対に取れないですけどね。
さて、結論です。
どういう風に伝えればいいのかというと、やっぱり巷ではWISC4検査っていうのは、発達障害を診断するための検査という、そういった間違った情報っていうのは流れています。
何度も言っている通り、WISC4検査は発達障害を診断するための検査ではないです。
WISCって何かというと、その子の得意苦手を判断するっていうところになります。
ただ、普通に考えて、得意なところ、苦手なところをちょっと検査で調べようよって言って、「うん、わかった、調べる」っていう子はいないです。
じゃあ、どうやって取らせるのかっていうと、その子はどんな課題を抱えていますかっていうのを紐解いていきます。
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例えば、勉強がなかなか定着しないとか、お勉強ができないっていうのが、もしあるのであれば、僕はこう言います。
例えば、10点満点の漢字の小テストありました。
テスト終わって、「半分間違えた、5問間違えたね。そしたら、間違えた漢字って、10回書いて覚えなさいって普通言われるよね」っていう風にその子に聞きます。
もう昔からですが、間違えた漢字は10回書いて覚えなさいとか、少なければ5回書いて覚えなさいって言われるじゃないですか。
でも、僕子供たちに必ず聞きます。
10回書いたら、完璧にその漢字って覚えていられるのって聞きます。
そうすると、ほぼほぼが、9割ぐらいかな、覚えませんって言います。
だから、なんで覚えられないのに漢字書かせるのっていつも思っています。
残りの1割は書いて覚えるっていう子もいます。
じゃあ、その1割に追加の質問を出します。
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「そっか、10回書いている漢字覚えられるんだ。すごいね。じゃあ、その覚えた漢字は、
3ヶ月経っても忘れずに覚えていられる?」って聞きます。
そうすると、こう言います。
「いや、忘れている」って言います。
ここで100パーセントなんです。
だから、何のために書かせているの?っていう風に僕は思っちゃったりもします。
子供たちにこう言います。
「例えば漢字って、10回書くのって面倒くさくない?」って聞くと、ほぼほぼ当然、面倒くさいって言います。
「そうだね、漢字書くの面倒くさいよね。
じゃあさ、漢字10回書かずに覚えられたらすごいと思わない?」って聞きます。
また、「1回しか書かずに漢字覚えられたらすごいよね。
そんな方法知りたくない?」ってききます。
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そうすると、大体知りたいって言います。
「だよね、知りたいよね。
その方法を見つけるためには、簡単なクイズとか、パズルやってもらわなくちゃいけないんだ」って言います。
要は、検査とか、テストっていうと、仰々しいです。
そもそも、テストっていうと、国語、算数、理科、社会だと思ってしまいますし、検査っていうと、病院の検査みたいなのを思い浮かべて、なんか大変そうだななんて思っちゃったりするんです。
病気じゃないのにみたいな。
だから、クイズやパズルとか、ちょっと、やってもらいたいことがあるんだなんて言います。
そして、子供のメリットを伝えます。
「クイズとか、パズルをやることによって、もしかしたら書かずに漢字覚える方法が見つかるかもしれないよ」っていうことを言ったり、もっと端的に「楽して成績伸ばすためにどうすれば良いのかっていうのがわかるかもしれないよ」とかって言います。
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例えば、お母さんに怒られまくっている子供であれば、「○○くん、自分は悪くないのに、お母さんが一方的に怒ってくることってない?」って聞きます。
そうすると、ほぼほぼあるって言います。
理不尽です。
子供からすれば、意味もわからず怒られるみたいな。
それで、反抗したりすると、言い訳するんじゃない!とかって、逆に怒られるって、なんかもう、理不尽で可哀想です。
でも、結構な割合で自分悪くないのに、「怒られることはあるよね?」って言うと、「うん」って言うんです。
そんな子は、多分また同じことをやって、同じことで怒られるんだろうなって思います。
親御さんも怒り損じゃないのかなって思うんです。
「自分悪くないのに、お母さんに怒られることあるよね。じゃあ、自分は悪くないのに、お母さんが勝手に怒ってくるっていうことを証明したくない? 証明しようよ」って話持っていきます。
そうすると、「うん、証明したい」って言います。
「だよね。 じゃあ今日、これからクイズとか、パズルとかやってもらうんだけど、そのクイズとかパズルで、○○くん悪くないのに、お母さんが一方的に怒ってくるんだっていうことがわかるんだよ」って話します。
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そうすると、「あ、じゃあちょっとやってみようかな」みたいな。
うんうん、やるやるって、そんなすごい前向きにはならないですが、じゃあ、メリットあるんだったら、やってみようかなみたいな話になります。
要は、メリット理論に持ち込むという事です。
子供が、何か行動を起こすときは、自分にとってメリットがないと、そもそもやらないじゃんって話です。
もっと言ってしまえば、子供だけに限らず、大人であってもね、メリット何にも感じなかったら、その行動ってしないよねって僕は思います。
だから、メリット理論にのっとって、WISC取ることのメリットを伝えます。
そして、検査に取り掛からせていくっていうような形で進めていくのはいかがでしょうかというお話でした。
まだまだ、子供に対してWISCをとっていくのは、こういう伝え方がいいっていうのはいくつかありますが、長くなりすぎるので別の機会でお伝えできればと思います。
いかがでしょうか。
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発達障害ラボ
室長 車重徳