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③WISC-Ⅴ検査の読み取りが、なぜ「PASS理論」からCHC理論へ移行していったのか
~
⑬発達障がい児の学校での困りごとBEST 5とWISC-Ⅴ検査
⑲発達障害を抱える子どもの「平均寿命」が短い理由とその対策法
⑳発達障害があると「精神疾患」になる可能性が高い理由とその対策法
WAIS-Ⅳ(Wechsler Adult Intelligence Scale – Fourth Edition)は、16歳~90歳11か月までの成人を対象とした個別式の知能検査であり、日本語版は2018年に発売されました。
アメリカの心理学者デヴィッド・ウェクスラー(David Wechsler)によって開発されたウェクスラー式知能検査の最新版であり、発達障害や知的障害、精神疾患、神経疾患など幅広い臨床場面で用いられています。
特徴:
✅知能を単一の数値ではなく、多様な側面から捉える
✅総合的な知能指数(FSIQ)に加えて、認知機能のプロファイル(凸凹)を可視化できる
✅発達障害、認知症、学習障害、精神疾患などの診断補助として重要な役割を果たす
WAIS-Ⅳでは、10の基本検査と5つの補助検査を通じて、以下の4つの主要な指標(インデックス)と全検査IQ(FSIQ)を算出します。
✅語彙力、知識、言葉による推論力、抽象的な言語理解を評価
✅日常会話の理解、説明力、概念化の力を反映
✅下位検査: 単語、類似、知識、理解
✅目で見た情報を整理・統合し、空間的・論理的に考える力
✅図形問題やパズルを解くような能力を測定
✅下位検査:積木模様、行列推理、パズル、バランス、絵の完成
✅一時的に情報を記憶し、操作する能力
✅会話中に情報を保持しながら考える力など
✅下位検査:数唱、算数、⑤語音整列
✅単純な視覚情報をすばやく正確に処理する能力
✅注意力、視覚的認知、動作のスムーズさに関係
✅下位検査:記号探し、符号、絵の抹消
4つの指標から総合された全検査IQ(FSIQ)は、いわゆる「知能指数」として知られる数値です。
平均は100、標準偏差は15であり、多くの人が85〜115の間に収まります。
ただし、WAIS-Ⅳ(ウェイスフォー)検査の本質は「IQの数字そのもの」よりも、その背景にある思考のスタイル、得意・不得意のパターンを明らかにすることにあります。
WAIS-Ⅳ(ウェイスフォー)検査の結果を分析することで、以下のようなことが明らかになります。
IQだけでなく、指標間での凸凹から
✅認知のバランスが取れているか
✅どのような課題に苦手意識を感じるか
✅どの能力を活かして日常生活を送っているか
といった、“脳の使い方のクセ”が見えてきます。
✅ASD(自閉スペクトラム症):
VCIやPRIが高く、WMIやPSIが低い傾向
✅ADHD(注意欠如・多動症):
PSIやWMIが特に低下しやすい
✅学習障害(LD):
指標は平均的でも、個別の検査で顕著な低下がみられる
✅知的障害(ID):
全体的に70未満のスコアで、適応行動の困難も伴う
※ 診断には臨床所見、生活状況、他の心理検査等と併せた総合的判断が必要です。
✅うつ病:
PSIやWMIが一時的に低下
✅統合失調症:
全体的に認知機能が不均一
✅高次脳機能障害:
PRIやWMIなど特定領域の障害
WAIS-Ⅳ(ウェイスフォー)検査は「能力の優劣」を決めるものではありません。
「あなたの脳の使い方にはこういう傾向がある」という中立的なフィードバックです。
検査結果は、
✅どんな仕事や学習スタイルが合うか
✅どんな支援があると生活しやすいか
を考える手がかりになります。
たとえば:
✅WMIが低ければ「メモを取る」「音声より視覚情報で学ぶ」
✅PSIが低ければ「急がず丁寧に行う」「作業時間の配慮」など
「自分が怠けているのではなく、脳の特性なのだ」と気づくことは、自己理解と安心感につながります。
✅注意散漫な方にスケジュール管理支援
✅曖昧な指示を避け、具体的な手順の提示
✅作業時間の延長や静かな作業環境の確保
✅書字や計算の苦手がLDの可能性であれば、合理的配慮の提案
✅高校・大学での支援制度利用のための書類作成
✅認知の偏りから疾患特性を推定
✅就労困難の背景を探る
✅福祉制度(障害者手帳、障害年金)の申請判断の一助
✅検査時間は約60分~90分
✅体調不良や精神的負荷があると正確に測れないことがある
✅病状や年齢によってスコアは変動する
✅WAIS(ウェイス)検査は絶対的な能力評価ではなく、相対的な傾向把握ツール
✅IQが高くても日常生活で困難を抱える人はいる
✅逆にIQが平均以下でも、支援次第で社会で活躍することは十分可能
検査を受けることに不安を感じる方もいるかもしれませんが、WAIS-Ⅳ(ウェイスフォー)検査は「その人らしさを知る手がかり」です。
点数がすべてではなく、その人の背景、育ち、経験と合わせて見ることが大切です。
そして何よりも、「どうすればもっと生きやすくなるか」「どんな支援や環境が合っているか」を見つけるための、前向きなツールとして使っていただきたいと考えています。
WAIS-Ⅳ(ウェイスフォー)検査は、「人の知能は一面的ではなく、複雑で多様である」という前提に立った、現代的で柔軟な知能検査です。
発達障害の特性を理解し、
認知の特性を可視化し、
社会的なつまずきの背景を明らかにし、
自分自身の生き方を見つめ直す材料になる
そうした“対話のきっかけ”になる検査として、WAIS-Ⅳ(ウェイスフォー)検査を活用していただければ幸いです。