発達障害ラボ



⑥ウェクスラー式知能検査 WAIS-Ⅳ(ウェイスフィー)

ウェクスラー式知能検査 WAIS-Ⅳ

 

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ウェクスラー式知能検査 WAIS-Ⅳ(ウェイスフォー)

第0章 はじめに:WAIS-Ⅳ検査とは何か、そしてその重要性 ※パスワードなし


第1章 WAIS-Ⅳ検査とはどういった検査なのか?


第2章 WAIS-Ⅳ検査はどのような人におススメの検査なのか?


第3章 WAIS-Ⅳ検査の結果を受けて、個人はどのように捉えるべきか?


第4章 WAIS-Ⅳ検査の結果からその個人に合う仕事や逆に合わない仕事をどう解釈するのか?


第5章 WAIS-Ⅳ検査を受ける上での重要な注意点と限界


第6章 まとめ:WAIS-Ⅳ検査を通じた自己理解とより良い生活のために


ウェクスラー式知能検査 WAIS-Ⅳ 配布資料

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WAIS-Ⅳ検査 配布資料
WAIS-Ⅳ検査の配布資料です。
全ての検査結果をPDFにしました。

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その他の動画講義



WAIS-Ⅳ(ウェイスフォー)知能検査とは

~ 大人の知能を多面的に捉える心理検査 ~


1. WAIS-Ⅳ(ウェイスフォー)検査とは何か…

 

WAIS-Ⅳ(Wechsler Adult Intelligence Scale – Fourth Edition)は、16歳~90歳11か月までの成人を対象とした個別式の知能検査であり、日本語版は2018年に発売されました。

 

アメリカの心理学者デヴィッド・ウェクスラー(David Wechsler)によって開発されたウェクスラー式知能検査の最新版であり、発達障害や知的障害、精神疾患、神経疾患など幅広い臨床場面で用いられています。

 

 

特徴:

✅知能を単一の数値ではなく、多様な側面から捉える

✅総合的な知能指数(FSIQ)に加えて、認知機能のプロファイル(凸凹)を可視化できる

✅発達障害、認知症、学習障害、精神疾患などの診断補助として重要な役割を果たす

 


2. WAIS-Ⅳ(ウェイスフォー)検査で測定される4つの指標

 

WAIS-Ⅳでは、10の基本検査と5つの補助検査を通じて、以下の4つの主要な指標(インデックス)と全検査IQ(FSIQ)を算出します。

 

① 言語理解(VCI:Verbal Comprehension Index)

 

✅語彙力、知識、言葉による推論力、抽象的な言語理解を評価

✅日常会話の理解、説明力、概念化の力を反映

✅下位検査: 単語、類似、知識、理解

 

② 知覚推理(PRI:Perceptual Reasoning Index)

 

✅目で見た情報を整理・統合し、空間的・論理的に考える力

✅図形問題やパズルを解くような能力を測定

✅下位検査:積木模様、行列推理、パズル、バランス、絵の完成

 

③ ワーキングメモリ(WMI:Working Memory Index)

 

✅一時的に情報を記憶し、操作する能力

✅会話中に情報を保持しながら考える力など

✅下位検査:数唱、算数、⑤語音整列

 

④ 処理速度(PSI:Processing Speed Index)

 

✅単純な視覚情報をすばやく正確に処理する能力

✅注意力、視覚的認知、動作のスムーズさに関係

✅下位検査:記号探し、符号、絵の抹消

 


3. FSIQ(全検査IQ)とは

 

4つの指標から総合された全検査IQ(FSIQ)は、いわゆる「知能指数」として知られる数値です。

 

平均は100、標準偏差は15であり、多くの人が85〜115の間に収まります。

 

 

ただし、WAIS-Ⅳ(ウェイスフォー)検査の本質は「IQの数字そのもの」よりも、その背景にある思考のスタイル、得意・不得意のパターンを明らかにすることにあります。

 


4. WAIS-Ⅳ(ウェイスフォー)検査で何がわかるのか

 

WAIS-Ⅳ(ウェイスフォー)検査の結果を分析することで、以下のようなことが明らかになります。

 

① 個人の強みと弱み(認知のプロファイル)

 

IQだけでなく、指標間での凸凹から

 

✅認知のバランスが取れているか

✅どのような課題に苦手意識を感じるか

✅どの能力を活かして日常生活を送っているか

 

といった、“脳の使い方のクセ”が見えてきます。

 

② 発達障害や知的障害の補助的な診断

 

✅ASD(自閉スペクトラム症):

VCIやPRIが高く、WMIやPSIが低い傾向

 

✅ADHD(注意欠如・多動症):

PSIやWMIが特に低下しやすい

 

✅学習障害(LD):

指標は平均的でも、個別の検査で顕著な低下がみられる

 

✅知的障害(ID):

全体的に70未満のスコアで、適応行動の困難も伴う

 

※ 診断には臨床所見、生活状況、他の心理検査等と併せた総合的判断が必要です。

 

③ 精神疾患との関連性

 

✅うつ病:

PSIやWMIが一時的に低下

 

✅統合失調症:

全体的に認知機能が不均一

 

✅高次脳機能障害:

PRIやWMIなど特定領域の障害

 


5. 結果の見方と受け止め方

① 数字に一喜一憂しない

 

WAIS-Ⅳ(ウェイスフォー)検査は「能力の優劣」を決めるものではありません。

あなたの脳の使い方にはこういう傾向がある」という中立的なフィードバックです。

 

② 得意を活かし、苦手を補う

 

検査結果は、

 

✅どんな仕事や学習スタイルが合うか

✅どんな支援があると生活しやすいか

 

を考える手がかりになります。

 

 

たとえば:

 

✅WMIが低ければ「メモを取る」「音声より視覚情報で学ぶ」

✅PSIが低ければ「急がず丁寧に行う」「作業時間の配慮」など

 

③ 二次障害(うつ、不安、自信喪失)を防ぐ材料に

 

「自分が怠けているのではなく、脳の特性なのだ」と気づくことは、自己理解と安心感につながります。

 


6. 検査結果の活用の具体例

① 職場での適応支援

 

✅注意散漫な方にスケジュール管理支援

✅曖昧な指示を避け、具体的な手順の提示

✅作業時間の延長や静かな作業環境の確保

 

② 学習支援・教育相談

 

✅書字や計算の苦手がLDの可能性であれば、合理的配慮の提案

✅高校・大学での支援制度利用のための書類作成

 

③ 精神科診療における補助評価

 

✅認知の偏りから疾患特性を推定

✅就労困難の背景を探る

✅福祉制度(障害者手帳、障害年金)の申請判断の一助

 


7. WAIS-Ⅳ(ウェイスフォー)検査の限界と注意点

① 時間と集中力が求められる

 

✅検査時間は約60分~90分

✅体調不良や精神的負荷があると正確に測れないことがある

 

② 結果は「現時点」での認知機能に過ぎない

 

✅病状や年齢によってスコアは変動する

✅WAIS(ウェイス)検査は絶対的な能力評価ではなく、相対的な傾向把握ツール

 

③ IQ数値のみに囚われない

 

✅IQが高くても日常生活で困難を抱える人はいる

✅逆にIQが平均以下でも、支援次第で社会で活躍することは十分可能

 


8. WAIS-Ⅳ(ウェイスフォー)検査を受ける方へ

 

検査を受けることに不安を感じる方もいるかもしれませんが、WAIS-Ⅳ(ウェイスフォー)検査は「その人らしさを知る手がかり」です。

 

点数がすべてではなく、その人の背景、育ち、経験と合わせて見ることが大切です。

 

そして何よりも、「どうすればもっと生きやすくなるか」「どんな支援や環境が合っているか」を見つけるための、前向きなツールとして使っていただきたいと考えています。

 


9. 終わりに

 

WAIS-Ⅳ(ウェイスフォー)検査は、「人の知能は一面的ではなく、複雑で多様である」という前提に立った、現代的で柔軟な知能検査です。

 

発達障害の特性を理解し、

認知の特性を可視化し、

社会的なつまずきの背景を明らかにし、

自分自身の生き方を見つめ直す材料になる

 

 

そうした“対話のきっかけ”になる検査として、WAIS-Ⅳ(ウェイスフォー)検査を活用していただければ幸いです。