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発達検査室でVineland-Ⅱ(適応行動尺度)を実施します!

 

発達検査室で、Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)を実施します。

 

結果のお渡しは、実施から7日以内にメールもしくはLINEにてお渡しします。(PDF)

結果の説明などはありません。

 

 

記載の料金には

 ・Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)の実施(オンラインで実施)

 ・結果のお渡し(PDF)

が含まれます。

 

 

なお、オンラインはZoomでおこないます。

接続先などは、お申し込み後のメールに記載されています。

 

 

また、検査を実施するのに

 ・お子さんのお名前

 ・お子さんの生年月日

 ・検査で知りたいこと

 ・お子さんの困りごと

の情報が必要です。

 

お申し込み時の備考欄にご記載ください。

 

 

お申込みの方は、下記の▼からご都合の良い日時をお選びください。

もし、ご希望日が▼にない場合は、LINEにてご希望の検査日時を送ってください。

 

¥9,900

  • 空席あり
  • お届け日数:1~3日


Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)の包括的理解

 

 

Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)※Vineland Adaptive Behavior Scales, Second Edition は、個人の適応行動を評価するために設計された標準化された評価ツールです。

 

適応行動とは、個人が日常生活の要求に対処し、社会的な基準に従って独立して生活する能力を指します。

 

この尺度は、アメリカの心理学者エドガー・ドール(Edgar Doll)が1930年代に開発した「Vineland Social Maturity Scale」を起源とし、その後何度か改訂を重ね、現在のVineland-Ⅱ(ヴァインランド2)は2005年に発表されました。

 

 

 Vineland-Ⅱは「検査」というよりは「評価尺度」または「行動評価システム」と位置づけられます。

 

一般的な知能検査や学力テストとは異なり、観察や面接を通じて得られた情報に基づいて評価を行う点が特徴です。

 

対象年齢は生後0歳から90歳以上までと非常に幅広く、さまざまな年齢層の適応能力を評価できます。

 

 

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Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)の目的と意義

 

Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)の主な目的は、個人の日常生活における実践的な能力を包括的に評価することにあります。

具体的には以下のような目的で使用されます:

 

 

1. 知的障害の診断支援:

知的機能の評価(IQ)だけでは不十分な場合、適応行動の評価が診断基準の一部として必要

 

 

2. 発達障害の評価:

自閉症スペクトラム障害(ASD)やADHDなどの発達障害における適応能力の特徴を把握

 

 

3. 介入計画の策定:

個人の強みと弱みを特定し、教育的・療育的介入の指針とする

 

 

4. 進捗評価:

介入や支援の効果を定期的に評価するためのベースラインとして使用

 

 

5. 成人の支援計画:

成人期の自立生活や職業適応のための支援計画作成

 

 

6. 司法・福祉分野:

保護者能力の評価や、福祉サービスの必要性判定の参考資料

 

 

 

適応行動の評価は、個人の「実際の生活能力」を反映するため、知能検査だけでは把握できない重要な情報を提供します。

 

特に、知的障害の診断においては、適応行動の評価が必須とされている(DSM-5やAAIDDの診断基準)ため、Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)は臨床現場で重要な役割を果たしています。 

 

 

 

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Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)の構成と評価領域

 

Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)は多面的な構造を持ち、以下の主要領域(ドメイン)とサブドメインで構成されています:

 

主要領域

 

1. コミュニケーション領域

   - 受容的コミュニケーション:言葉やジェスチャーを理解する能力

   - 表出的コミュニケーション:自分の考えや要求を伝える能力

   - 書写的コミュニケーション:読み書きに関連する能力

 

 

2. 日常生活スキル領域

   - 個人的日常生活スキル:食事、着替え、トイレなど基本的な自己管理

   - 家庭内日常生活スキル:家事や家庭内での責任

   - 地域社会日常生活スキル:金銭管理、時間管理、公共施設の利用など

 

 

3. 社会性領域

   - 対人関係:他人との関わり方

   - 遊びと余暇:遊びや趣味活動への参加

   - コーピングスキル:社会的ルールや責任の理解

 

 

4. 運動スキル領域(5歳以下のみ)

   - 粗大運動:歩行、走行などの大きな動き

   - 微細運動:手先の細かい動き

 

 

 

これらの領域を評価することで、個人の適応能力を包括的に把握できます。

 

各領域はさらに細かいスキル項目に分かれており、発達段階に応じた適応行動を評価するよう設計されています。

 

 

 

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Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)の実施方法

 

 

Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)は、対象者本人を直接テストするのではなく、対象者をよく知る情報提供者(通常は保護者、教師、介護者など)への半構造化面接を通じて実施されます。

 

アメリカ版における主な実施方法には以下の3つの形式があります:

 

 

1. 面接形式(Interview Form)

   - 訓練を受けた評価者が、保護者や介護者と対面または電話で行う詳細な面接

   - 最も包括的な情報が得られる標準的な方法

   - 所要時間:20-60分

 

 

2. 親形式(Parent/Caregiver Form)

   - 保護者や介護者が記入する質問紙形式

   - 面接形式より簡便だが、やや情報量が少ない

   - 所要時間:20-30分

 

 

3. 教師形式(Teacher Form)

   - 学校の教師が記入する質問紙形式

   - 学校環境での適応行動に焦点

   - 所要時間:20分程度

 

 

評価は「いつもできる(2点)」「ときどきできる/部分的にできる(1点)」「まったくできない(0点)」の3段階で各項目を評定します。

 

評価の際には、対象者が「実際にどのような行動を示しているか」に基づき、潜在能力ではなく実際の行動を評価することが重要です。 

 

ちなみに日本語版でのVineland-Ⅱ(適応行動尺度)は、保護者に対しての面接形式で実施するのが一般的です。

 

 

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Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)の結果の解釈とスコア

 

 

Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)の結果は、標準スコア(平均100、標準偏差15)、百分位数、年齢相当齢などで表されます。主要なスコアタイプは以下の通りです:

 

 

1. 領域別標準スコア

各主要領域(コミュニケーション、日常生活スキル、社会性)の標準スコア

 

 

2. 適応行動総合スコア(ABC)

全領域を総合した全体的な適応能力の指標

 

 

3. サブドメインのvスコア

各サブドメインの尺度スコア(平均15、標準偏差3)

 

 

4. 年齢相当齢

達成したスキルが標準的な何歳レベルに相当するかを示す

 

 

結果の解釈では、単にスコアの高低を見るだけでなく、領域間の不一致(例えば、コミュニケーションは高いが社会性が低いなど)や、環境間の違い(家庭と学校での行動の違い)にも注目します。

 

これにより、個人の特異的な強みと支援が必要な領域を特定できます

 

 

 

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Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)の特徴と長所・短所

Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)の長所

 

1. 包括性

適応行動の多面的評価が可能

 

2. 標準化

大規模な標準化サンプルに基づく信頼性のある評価

 

3. 生涯発達的視点

乳幼児から高齢者まで対応

 

4. 臨床的有用性

介入計画の作成に直接活用できる具体的な情報が得られる

 

5. 文化的適応

様々な文化的背景を考慮した項目構成

 

6. 多様な実施形態

面接形式と質問紙形式の選択が可能

 


Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)の短所と限界

 

1. 情報提供者の偏見

評価が情報提供者の主観に影響される可能性

 

2. 環境の影響

家庭環境や機会の有無が評価結果に影響を与える可能性

 

3. 実施時間

面接形式では比較的時間がかかる

 

4. 訓練の必要性

特に面接形式では適切な実施に訓練が必要

 

5. 動的な能力の評価

適応行動は状況によって変化するため、一時点の評価には限界

 

 

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臨床・教育現場での活用事例

 

Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)はさまざまな場面で活用されています:

 

 


①発達障害の評価

 

自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもでは、社会性領域のスコアが特に低い傾向があり、日常生活スキルとの間に大きな乖離が見られることがあります。

このようなプロファイルは診断の参考情報として有用です。

 


②知的障害の診断

 

知的障害の診断では、知能指数(IQ)だけでなく適応行動の評価が必須です。

 

Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)は、IQテストでは把握できない日常生活の実際的な困難を明らかにします。

 


③介入計画の作成

 

評価結果から、具体的な介入目標を設定できます。

例えば、コミュニケーション領域の表出的サブドメインが低い場合には、言語療法やコミュニケーションスキルトレーニングが推奨されます。

 

 


④成人期の支援

 

成人期の自立生活や就労支援において、どのようなスキルを強化すべきか、どのような支援が必要かを判断する材料となります。

 

 

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他の評価尺度との比較

 

適応行動を評価する尺度には、Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)の他にも以下のようなものがあります:

 


①ABAS-Ⅱ(Adaptive Behavior Assessment System-Ⅱ):

 

Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)と同様の適応行動評価尺度

   - より簡便な実施形式が特徴

   - 職業スキルの評価にやや重点

 


②SIB-R(Scales of Independent Behavior-Revised):

 

   - 問題行動の評価も含む

   - 重度の障害を持つ個人の評価に適している

 

 


③ABS-S:2(Adaptive Behavior Scale-School:2):

 

   - 学校環境に特化した適応行動評価


 

Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)は、これらの尺度と比較して、より包括的で詳細な評価が可能であり、特に臨床診断や包括的なアセスメントに適していると言えます。

 




Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)の日本での活用状況

 

日本では、Vineland 適応行動尺度の第二版(Vineland-Ⅱ)が2013年に日本語版として標準化されました。

 

日本の文化や教育環境に合わせた項目の調整が行われています。

 

現在、以下のような場面で活用されています:

 

 

- 児童精神科や発達外来での診断補助

 

- 特別支援学校や特別支援学級での教育評価

 

- 療育機関におけるプログラムの効果測定

 

- 成人の障害者支援施設でのアセスメント

 

- 司法・福祉分野での保護者評価

 

日本版の標準化により、日本の子どもや成人の適応行動を国際的な基準と比較しながら評価できるようになりました。

 


Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)の倫理的配慮と今後の展望

 

Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)を使用する際には、以下のような倫理的配慮が必要です:

 

 

1. 同意の取得

評価実施前に、対象者や保護者に評価の目的と方法を説明し、同意を得る

 

2. 結果の取り扱い

評価結果は慎重に取り扱い、適切な解釈と共に関係者に伝える

3. 誤用の防止

評価結果をレッテル貼りや差別に用いない

 

4. 総合的な評価

Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)の結果だけで判断せず、他の評価情報と総合的に解釈する

 

 

今後の展望として、デジタル化による評価の効率化、より細かな年齢層に対応した基準の作成、文化的多様性へのさらなる対応などが期待されます。

また、適応行動の評価は、障害の有無にかかわらず、すべての個人の生活の質(QOL)向上に寄与するツールとして、より広範に活用される可能性があります。

 




Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)のまとめ

 

Vineland-Ⅱ(適応行動尺度)は、個人の日常生活における実践的な能力を多面的に評価する標準化された尺度です。

 

検査というよりは、行動観察に基づく評価システムと位置づけられ、特に知的障害や発達障害の評価において重要な役割を果たします。

 

 

適応行動の評価は、個人の「実際の生活能力」を反映するため、知能検査だけでは把握できない重要な情報を提供し、より個別化された支援計画の作成に貢献します。

 

日本でも標準化がなされており、臨床、教育、福祉のさまざまな場面で活用されています。

 

適切な実施と解釈が求められる専門的なツールですが、個人の生活の質向上に向けた支援において、その価値は大きいと言えます。

 

 

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