発達障害ラボ



⑳発達障害があると精神疾患になる可能性が高い理由とその対策法

発達障害があると精神疾患になる可能性が高い理由とその対策法

 

お申込みの方のみ、動画講座のパスワードをお伝えします。

お支払い後に送られてくるパスワードをご確認ください。

¥15,000

  • 空席あり
  • お届け日数:1~3日

発達障害があると精神疾患になる可能性が高い理由とその対策法


サンプル動画 ※パスワードなし


第1章 発達障害とは何か?


第2章 発達障害を持つ人が精神疾患になりやすい理由


第3章 精神疾患の症状と原因


第4章 まとめ


第5章 参考資料


障害者差別解消法の多面的な影響


障害者差別解消法の改正


発達障害があると精神疾患になる可能性が高い理由とその対策法の配布資料

ダウンロード
発達障害があると精神疾患になる可能性が高い理由とその対策法の配布資料
全てのパワーポイントの資料を
PDFにしました。

ダウンロードしてご確認ください。

※パスワードは動画と同じです。
配布資料_発達障害と精神疾患.zip
zip ( 圧縮 ) ファイル 497.1 KB

その他の動画講義


発達障害があるとなぜ、精神疾患に罹患しやすいのか?

 

発達障害を持つ人々が、そうでない人々と比較して精神疾患に罹患しやすい傾向にあることは、多くの研究で示唆されています。

 

この背景には、発達障害そのものが持つ特性に加え、社会生活における困難さ、周囲の理解不足、そしてそれらによって引き起こされる心理的なストレスなど、複合的な要因が複雑に絡み合っています。

 

以下に、代表的な発達障害の種類別に、精神疾患に罹患しやすい理由を詳しく説明します。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

 

1. 自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder, ASD)

 

自閉スペクトラム症は、コミュニケーションや社会的相互作用の困難さ、興味や活動の限定された反復的なパターンを主な特徴とする神経発達症です。

 

ASDを持つ人が精神疾患に罹患しやすい背景には、以下のような要因が考えられます。

 

 

1.1 社会的困難と孤立感

 

・コミュニケーションの障壁: 言語性・非言語性コミュニケーションの困難さから、他者との意思疎通が円滑に進まず、誤解やすれ違いが生じやすいです。

 

これにより、人間関係の構築や維持が難しく、孤立感を深めることがあります。

 

 

・社会的相互作用の困難さ: 他者の感情や意図を読み取ることが苦手なため、 ストレスフルな場面での適切な行動が難しく、周囲との関係で摩擦が生じやすいです。

 

これにより、社会的な不安やストレスを感じやすくなります。

 

 

・いじめや孤立の経験: 周囲の理解不足や特性の違いから、幼少期からいじめや仲間外れを経験することが少なくありません。

 

これらの経験は、自己肯定感の低下やトラウマとなり、うつ病や不安障害などの精神疾患のリスクを高めます。

 

 

1.2 環境とのミスマッチとストレス

 

・感覚過敏: 光、音、特定の触感などに過敏さを持つ場合があり、日常生活を送る上で常にストレスを感じやすいです。

過度な刺激は、不安やパニックを引き起こす可能性があります。

 

 

・変化への抵抗: 予測できない変化やルーティンの乱れに対して強い不安を感じるため、環境の変化に適応することが困難であり、慢性的なストレスにつながります。

 

・曖昧さや抽象的な指示の理解困難: 比喩表現や冗談、行間を読むといった曖昧なコミュニケーションを理解することが苦手なため、周囲の意図を誤解しやすく、混乱や不安を感じやすいです。

 

 

1.3 特有の思考パターンと内面化

 

・強いこだわりと反復思考: 特定の興味や行動に固執する傾向があり、それが周囲との摩擦を生むことがあります。

また、過去の失敗や嫌な出来事を繰り返し考え込む反復思考は、抑うつ気分や不安を高める要因となります。

 

 

・感情の認識と表現の困難さ: 自身の感情を認識したり、適切に表現したりすることが苦手な場合があります。

これにより、ストレスが内面に蓄積しやすく、精神的な不調につながることがあります。

 

 

1.4 他の発達障害や精神疾患の合併

 

・ADHDの合併: ASDとADHDは併存することが多く、ADHDの特性である不注意、多動性、衝動性が、社会生活における困難さをさらに増幅させ、精神的なストレスを高める可能性があります。

 

・他の精神疾患の合併: ASDを持つ人は、うつ病、不安障害(社交不安症、全般性不安症など)、強迫性障害などを合併しやすいことが知られています。

これらの合併症は、ASDの特性によって症状が複雑化したり、治療が難しくなったりする可能性があります。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

 

2. 注意欠陥・多動性障害(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder, ADHD)

 

ADHDは、不注意、多動性、衝動性を主な特徴とする神経発達症です。

 

ADHDを持つ人が精神疾患に罹患しやすい背景には、以下のような要因が考えられます。

 

 

2.1 社会生活における失敗経験と自己肯定感の低下

 

・不注意によるミス: 細かい注意を払うことや、課題を最後までやり遂げることが苦手なため、学業や仕事でミスを繰り返しやすいです。

 

・多動性・衝動性による問題: 落ち着きのなさや衝動的な行動は、周囲の反感を買ったり、人間関係のトラブルにつながったりすることがあります。

 

・周囲からの否定的な評価: これらの特性から、幼少期から周囲(親、教師、友人など)から叱責や否定的な評価を受けることが多く、自己肯定感が著しく低下しやすいです。

自己肯定感の低さは、うつ病や不安障害のリスクを高めます。

 

 

 

2.2 ストレスへの脆弱性

 

・感情調節の困難さ: 感情の波が激しく、些細なことで怒り出したり、落ち込んだりすることがあります。ストレスに対する耐性が低く、精神的なバランスを崩しやすいです。

 

・時間管理や организационный スキルの低さ: 約束を守れない、物をなくしやすい、計画的に物事を進められないといった困難さから、日常生活や社会生活で常にプレッシャーを感じやすいです。

 

 

2.3 他の精神疾患の合併

 

・気分障害(うつ病、双極性障害): ADHDを持つ人は、気分障害を合併するリスクが高いことが知られています。

特に、成人期になってからうつ病を発症する割合が高いという報告があります。

 

・不安障害: 社会的な場面での失敗経験や、将来への不安などから、不安障害を合併しやすいです。

 

・物質使用障害: 衝動性や自己制御の困難さから、アルコールや薬物などの物質に依存しやすい傾向があります。

 

・パーソナリティ障害: 成人期には、パーソナリティ障害を合併するリスクも指摘されています。

 

 

2.4 睡眠障害

 

ADHDを持つ人は、入眠困難や睡眠維持困難などの睡眠障害を抱えていることが多く、睡眠不足は精神的な不調を悪化させる要因となります。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

 

3. 学習障害(Learning Disability, LD)

 

学習障害は、全般的な知的発達に遅れはないものの、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどの特定の能力の習得と使用に著しい困難を示す状態です。

 

学習障害そのものが直接的に精神疾患を引き起こすわけではありませんが、学習における困難さが積み重なることで、二次的に精神的な問題が生じることがあります。

 

 

3.1 学習不振による自己肯定感の低下

 

・学業不振の経験: 特定の学習領域で困難を抱えるため、学校の授業についていけず、学業不振を経験しやすいです。

 

・周囲からの誤解や叱責: 周囲からは「努力不足」「怠けている」と誤解され、叱責を受けることが多く、自己肯定感が低下しやすいです。

 

・劣等感や無力感: 他の生徒と比較して「自分はできない」と感じやすく、劣等感や無力感を抱きやすいです。

 

 

3.2 ストレスと回避行動

 

・学習場面での強いストレス: 苦手な学習課題に取り組む際に強いストレスを感じ、学習場面を避けるようになることがあります。

 

・将来への不安: 学習の遅れが、将来の進路や就職に不利に働くのではないかという不安を感じやすいです。

 

 

3.3 二次的な精神疾患の発症

 

・うつ病: 長期的な学習不振や自己肯定感の低下、将来への不安などが積み重なることで、うつ病を発症するリスクが高まります。

 

・不安障害: 学習場面での失敗体験や、評価されることへの不安などから、不安障害を発症することがあります。

 

・注意欠陥・多動性障害(ADHD)の合併: 学習障害とADHDは併存することがあり、ADHDの特性が学習困難をさらに悪化させ、精神的なストレスを高める可能性があります。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

 

4. 知的障害(Intellectual Disability, ID)

 

知的障害は、知的機能と適応行動の両面で著しい制限がある状態です。

 

知的障害を持つ人も、その特性や生活環境によって精神疾患に罹患しやすい場合があります。

 

 

 

4.1 コミュニケーションの困難さとフラストレーション

 

・意思疎通の難しさ: 自身の気持ちや考えをうまく伝えられない、他者の言葉を理解できないといったコミュニケーションの困難さから、欲求不満が溜まりやすく、それが精神的な不安定さにつながることがあります。

 

・周囲の期待とのずれ: 周囲の期待に応えられないことや、自分の能力とのギャップを感じることで、ストレスや不安を感じやすいです。

 

 

4.2 社会参加の困難さと孤立

 

・社会的なスキルの不足: 社会的なルールやマナーを理解したり、他者と適切に関わったりすることが苦手なため、社会参加が難しく、孤立感を深めることがあります。

 

・いじめや差別: 知的な発達の遅れから、いじめや差別の対象になりやすく、それが精神的なトラウマとなることがあります。

 

 

4.3 行動上の問題と精神疾患

 

・常同行動やこだわり: 強いこだわりや常同行動は、周囲との摩擦を生みやすく、それがストレスとなることがあります。

 

・自傷・他害行為: コミュニケーションの困難さや感情のコントロールの難しさから、自傷行為や他害行為が見られることがあり、精神科的な治療が必要となる場合があります。

 

・精神疾患の合併: 知的障害を持つ人も、うつ病、不安障害、統合失調症などの精神疾患を合併することがあります。

知的障害がある場合、精神疾患の症状が見過ごされたり、適切な診断や治療が遅れたりする可能性があります。

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

 

精神疾患罹患の共通要因と対策

 

上記のように、発達障害の種類によって精神疾患に罹患しやすい背景は異なりますが、いくつかの共通する要因も存在します。

 

・早期の困難経験とネガティブな自己認識: 発達障害の特性による早期からの困難経験は、自己肯定感の低下やネガティブな自己認識を形成しやすく、精神疾患のリスクを高めます。

 

・周囲の無理解と不適切な対応: 発達障害の特性に対する周囲の無理解や、不適切な対応(叱責、無視など)は、当事者に大きな精神的苦痛を与え、二次的な精神疾患を引き起こす可能性があります。

 

・適切な支援の不足: 発達障害の特性に合わせた早期からの療育や教育、成人期の就労支援や生活支援などが不足していると、社会生活における困難が増し、精神的な負担が大きくなります。

 

 

 

これらの要因を踏まえ、発達障害を持つ人が精神疾患に罹患するリスクを低減するためには、以下のような対策が重要となります。

 

・早期発見と早期療育・支援: 発達の遅れや特性に早期に気づき、適切な療育や支援を提供することで、困難を最小限に抑え、自己肯定感を育むことができます。

 

・特性理解に基づいた環境調整と合理的配慮: 学校や職場、家庭など、あらゆる場面で、発達障害の特性を理解し、その人に合わせた環境調整や合理的配慮を行うことが重要です。

 

・コミュニケーション支援: コミュニケーションの困難さを持つ人に対して、視覚的な支援や代替コミュニケーション手段の提供など、適切なコミュニケーション支援を行うことが、誤解やストレスの軽減につながります。

 

・ソーシャルスキルトレーニング(SST): 社会生活に必要なスキルを習得するためのトレーニングは、対人関係の改善や社会適応を促し、不安や孤立感を軽減する効果が期待できます。

 

・ペアレントトレーニングや家族支援: 発達障害のある子どもの親や家族に対して、特性の理解や適切な関わり方、利用できる社会資源などの情報提供や相談支援を行うことは、家庭環境の安定につながり、子どもの精神的な安定にも寄与します。

 

・精神科医療との連携: 精神疾患を合併した場合、早期に専門的な医療機関と連携し、適切な診断と治療を受けることが重要です。発達障害の特性を踏まえた治療計画を立てる必要があります。

 

・地域社会の理解と啓発: 発達障害に対する正しい知識を広め、偏見や差別をなくすための啓発活動が必要です。

 

地域社会全体で発達障害のある人を理解し、支え合う意識を高めることが重要です。

 

 

 

発達障害を持つ人が精神疾患に罹患しやすい背景には、個人の特性と環境との相互作用が深く関わっています。適切な理解と支援によって、精神的な困難を軽減し、その人らしい豊かな生活を送ることができる社会を目指していく必要があります。

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

発達障害ラボ

車 重徳