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③WISC-Ⅴ検査の読み取りが、なぜ「PASS理論」からCHC理論へ移行していったのか
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⑬発達障がい児の学校での困りごとBEST 5とWISC-Ⅴ検査
⑲発達障害を抱える子どもの「平均寿命」が短い理由とその対策法
⑳発達障害があると「精神疾患」になる可能性が高い理由とその対策法
気持ちの切り替え困難とは、ある活動や感情状態から別の活動や感情状態へスムーズに移行することができない状態を指します。
発達障害やグレーゾーンの子どもたちは、楽しい活動を終えて次の活動に移る際の激しい抵抗、感情的になった後の立ち直りの困難、予定変更への過度な反応、新しい環境への適応困難などの形で、この問題を頻繁に経験します。
具体的には、ゲームを止められない、友達との些細なトラブル後に一日中気分が落ち込む、急な予定変更でパニックになる、新学期や転校で長期間適応できないなどの行動として現れます。
気持ちの切り替え困難の最も根本的な原因は、実行機能の発達遅延にあります。
実行機能は前頭前野を中心とした脳領域によって制御される高次認知機能で、認知的柔軟性、作業記憶、抑制制御の三つの核となる機能から構成されます。
認知的柔軟性は、状況の変化に応じて思考や行動を柔軟に切り替える能力です。
発達障害の子どもたちは、この機能の発達が定型発達の子どもより遅れているため、一つの考えや活動に固執しやすく、新しい状況への適応が困難になります。
作業記憶の機能不全も切り替え困難に大きく影響します。
作業記憶は情報を一時的に保持し操作する能力で、現在の状況を把握し、次に何をすべきかを計画する際に必要です。
この機能が弱いと、現在の活動に集中するあまり次の予定を忘れたり、状況の変化を適切に処理できなくなります。
抑制制御は、不適切な反応を抑制し適切な行動を選択する能力です。
この機能が未熟だと、感情的な反応を抑えることができず、切り替えの際に激しい抵抗や癇癪を起こしやすくなります。
ドーパミン系の機能異常も切り替え困難に関与しています。
ドーパミンは報酬処理と動機付けに重要な役割を果たしており、楽しい活動をやめることの困難さや、新しい活動への動機の低さに影響します。
セロトニン系の機能不全は、気分の安定性や不安の調節に影響を与え、変化への過敏性や適応困難を引き起こします。
ノルアドレナリン系の異常は、覚醒水準の調節困難を生み、環境の変化に対する過度な反応や適応の遅れをもたらします。
発達障害の子どもたちは、物事を白黒で判断する傾向(全か無かの思考)や、一度決めたルールや手順に強く固執する特性を示すことがあります。
この認知の硬直性により、「まだやりたい」という気持ちが「絶対にやめたくない」という極端な反応になったり、「いつものやり方」以外を受け入れることが困難になります。
多くの発達障害の子どもたちは、予測可能な環境を強く求めます。
これは不安を軽減し、安心感を得るための適応的な反応ですが、同時に変化への過敏性を高めます。
予期しない変更や新しい状況は、強い不安や混乱を引き起こし、気持ちの切り替えを困難にします。
時間の概念や見通しを持つ能力の発達遅延も重要な要因です。
「あと5分」「明日」といった時間的概念が理解できないと、現在の活動がいつまで続くのか、次に何が待っているのかが分からず、不安や抵抗を生み出します。
多くの発達障害の子どもたちは、感覚処理に困難を抱えています。
聴覚過敏により周囲の音が気になって集中できない、触覚過敏により服の材質や室温の変化に過度に反応する、前庭覚や固有覚の問題により身体のバランスや位置感覚が不安定になるなど、様々な感覚的困難が気持ちの切り替えを妨げます。
適切な覚醒水準を維持することの困難さも切り替え困難に関与します。
過覚醒状態では興奮しすぎて冷静な判断ができず、低覚醒状態では新しい活動への動機が湧かなくなります。
家族や教師、友人の理解不足により、子どもの困難が「わがまま」や「甘え」として捉えられることがあります。
これにより、適切な支援が得られず、問題が悪化することがあります。
家庭や学校環境が予測不可能で変化が多い場合、子どもの不安が高まり、切り替え困難が悪化します。
一貫性のない指導や頻繁な予定変更は、子どもの安心感を損ない、適応能力を低下させます。
スケジュール表、タイマー、手順書などの視覚的支援を活用し、一日の流れや活動の手順を明確にします。
これにより、子どもは見通しを持ちやすくなり、切り替えへの不安が軽減されます。
絵カードや写真を使ったスケジュール表は、特に有効です。
現在の活動、次の活動、その次の活動を視覚的に示すことで、「今何をしているのか」「次に何があるのか」を理解しやすくなります。
活動の切り替え前には、十分な予告時間を設けます。
「あと10分でお片付けです」「あと5分」「あと1分」というように段階的に予告することで、心の準備ができます。
終了の合図には、タイマーや音楽などの一貫した方法を使用し、子どもが慣れ親しんだルーティンを確立します。
子どもが自分の感情を理解し表現できるよう支援します。
「楽しかったから終わりたくないね」「新しいことで不安なんだね」など、大人が感情を代弁したり、感情カードを使用して感情を視覚化したりします。
深呼吸、筋弛緩法、イメージ法などの簡単なリラクゼーション技法を教えます。
これらの技法は、興奮や不安を落ち着かせ、切り替えを容易にします。
子どもの年齢や理解力に応じて、「ゆっくり息を吸って、ゆっくり吐く」「お腹に手を当てて、風船のように膨らませてしぼませる」など、分かりやすい説明で指導します。
いきなり完全な切り替えを求めるのではなく、段階的に練習します。
最初は短時間の活動から始め、徐々に時間を延ばしたり、好きな活動から嫌いな活動への切り替えではなく、好きな活動から普通の活動への切り替えから始めたりします。
可能な限り、子どもに選択肢を提供します。
「宿題を先にする?それとも明日の準備を先にする?」
「5分後に終わる?それとも10分後?」
など、完全にコントロールを奪うのではなく、限定された選択肢の中から選ばせることで、自主性を保ちながら切り替えを促進します。
次の活動に子どもの興味や関心のある要素を取り入れます。
電車好きの子どもには「次は電車の本を読む時間だよ」、絵を描くことが好きな子どもには「今度は絵を描いて今日のことを表現してみよう」など、動機を高める工夫をします。
小さな成功体験を積み重ねられるよう、切り替えができた時には適切な称賛や評価を行います。
シールや点数システムなどの視覚的なフィードバックも効果的です。
子どもの感覚特性を理解し、それに応じた環境調整を行います。
聴覚過敏の子どもには静かな環境やイヤーマフの提供、触覚過敏の子どもには適切な衣服や座席の選択、感覚刺激を求める子どもには適度な運動や感覚遊びの機会を提供します。
子どもの覚醒水準に応じた活動を選択します。
興奮している時には静的な活動、エネルギーが低い時には動的な活動を取り入れることで、適切な覚醒水準に調整してから切り替えを行います。
家庭と学校で一貫した対応を心がけます。
同じ支援方法や合図を使用することで、子どもの混乱を避け、効果的な支援を提供できます。
子どもの状態や有効だった支援方法について、定期的に情報共有を行います。
連絡帳やミーティングを通じて、継続的で一貫した支援を実現します。
同年代の子どもたちとの関わりの中で、自然な形で切り替えの練習ができる機会を作ります。
グループ活動やゲームを通じて、楽しみながら社会的スキルと切り替えスキルを同時に育成します。
年齢に応じて、自分の特性や困難について理解を深める支援を行います。
「自分は変化が苦手だから、前もって準備をすると楽になる」
といった自己理解は、将来的な自立に向けて重要です。
発達障害やグレーゾーンの子どもの気持ちの切り替え困難は、脳機能の特性に基づく複合的な問題です。
単一の原因や対応法では解決できず、個々の子どもの特性を理解し、多角的で継続的な支援が必要です。
重要なのは、これらの困難を「問題行動」として捉えるのではなく、子どもなりの適応努力として理解し、その子どもに最適な支援方法を見つけていくことです。
時間をかけて丁寧に関わることで、多くの子どもたちが切り替えスキルを身につけ、より適応的な生活を送ることができるようになります。
また、支援する大人側も、即効性を求めず、小さな変化や成長を見逃さずに評価し、継続的に支援していく姿勢が重要です。
子どもの発達は個人差が大きく、それぞれのペースがあることを理解し、長期的な視点で関わることが、最終的には大きな成果につながります。