448【ゲーム】ゲームクリエーターになる子どもの夢を壊さないようにする親の末路

 

このようなケースで親が「夢を応援する」という名目でゲームをやらせ続けてしまう背景には、善意と不安、そして現実を直視することのつらさが複雑に絡み合っています。

 

臨床の現場で見る限り、これは決して無責任な放置ではなく、親自身が追い詰められた末に選んでしまった理解の仕方だと言えます。

 

 

 

 

まず多くの親に共通しているのは、「子どもの好きなことを否定したくない」という強い思いです。現代の子育てでは、親が子どもの自己肯定感を傷つけることへの恐れが非常に大きくなっています。

 

学校でうまくいっていない、友だち関係に悩んでいる、勉強に意欲がないといった状況が重なると、親は「これ以上、子どもから自信を奪ってはいけない」と感じます。

 

そんな中で「ゲームが好き」「将来はゲームを作りたい」という言葉は、子どもが自分なりに未来を語った数少ない前向きな表現に見え、親にとっては希望の光のように感じられます。

 

それを否定することは、子どもの最後の拠り所を壊す行為のように思えてしまうのです。

 

 

 

 

また、親自身が「今の苦しい現実」に耐えきれなくなっている場合も少なくありません。

 

不登校や情緒不安定が始まると、親は日々、学校からの連絡、周囲の視線、将来への不安にさらされます。

 

その中で、「この子はダメになっているのではなく、夢に向かって準備している途中なのだ」と意味づけることは、親自身の不安を和らげる心理的な防衛になります。

 

ゲームをやり続けている現実を「依存」や「回避」として見るよりも、「将来への投資」「才能の芽」と捉える方が、親の心は保たれやすいのです。

 

 

 

 

さらに、親が「ゲームを止めさせた結果、子どもが壊れてしまうのではないか」という恐怖を抱いていることも大きな要因です。

 

実際に、ゲームを制限しようとすると激しく反発する、暴れる、部屋に閉じこもる、親子関係が完全に崩れるといった経験をした家庭も多くあります。

 

その体験を通して、親は「今はこれ以上刺激しない方がいい」「この子にとってゲームは命綱なのかもしれない」と感じるようになります。

 

結果として、ゲームを止めることが“危険な行為”に思えてしまい、夢という言葉で正当化しながら継続を許してしまうのです。

 

 

 

 

加えて、ゲーム業界の成功例が身近に語られるようになった社会背景も影響しています。

 

プロゲーマーやゲームクリエイターとして活躍する若者の話は、「好きなことを極めれば道は開ける」という希望の物語として親の心に届きやすくなっています。

 

しかし現実には、ゲームを「作る側」になるためには、長時間の学習、基礎的な学力、コミュニケーション力、継続的な努力が不可欠です。

 

その厳しさに目を向けることは、今の子どもの状態とあまりにもかけ離れているため、親は無意識にその部分を見ないようにしてしまいます。

 

 

 

 

臨床的に見ると、ここで起きている最大の問題は、「夢」と「現実逃避」との境界が、親子ともに曖昧になっていくことです。

 

子どもにとってゲームは、評価されず、失敗しても傷つかず、努力しなくても達成感が得られる世界です。

 

その世界に長くとどまるほど、現実世界に戻るためのエネルギーは失われていきます。

 

一方で親は、「夢を応援している」という物語を持つことで、現実の困難に直面する痛みを先送りしてしまいます。

 

 

 

 

専門家として強調したいのは、親がこのような対応を取るとき、その根底には「子どもを見捨てたくない」「壊したくない」「希望を失いたくない」という切実な思いがあるという点です。

 

しかし同時に、夢を理由に依存を放置することは、結果として子どもから現実とつながる力を奪い、社会から孤立させてしまうリスクが非常に高い選択でもあります。

 

 

 

 

本当に子どもの夢を大切にするということは、「好きなことをやらせ続けること」ではありません。

 

現実世界で生きる力を回復させ、その上で初めて夢を語れる土台を作ることです。

 

親がこの対応をしてしまうのは弱さや無知のせいではなく、支援の手が届かないまま、親子だけで限界まで踏ん張っている結果なのです。

 

だからこそ、この問題は家庭内だけで解決しようとするのではなく、専門家や学校、支援機関とつながりながら、親が一人で背負わなくていい構造を作ることが不可欠だと言えます。

 

 

 

 

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発達障害ラボ

車 重徳

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