学習障害、いわゆるLDの子どもを育てる際に大切なのは、「努力していない」のではなく「努力しても同じ方法では身につきにくい特性がある」という理解を持つことです。
LDは知的能力の全体的な遅れではなく、読む・書く・計算するなど特定の学習領域に困難がみられる状態です。
そのため、会話は年齢相応にできるのに音読になると極端にたどたどしくなったり、内容は理解しているのに文字を書くと著しく時間がかかったりします。
このアンバランスさが周囲の誤解を生みやすく、「ちゃんとやればできるはず」「さぼっているのでは」と言われやすいのです。
しかし本人は何度練習しても思うようにできない体験を繰り返し、強い劣等感を抱えていることが少なくありません。
まず重要なのは、苦手さを早めに正確に把握し、責めるのではなく支援につなげることです。
読み書きの困難がある子に大量の書き取り練習を課すことは、努力を促すどころか自己肯定感を傷つけることになりかねません。
その子に合った学び方を探す姿勢が必要です。
音声教材を使う、タブレットで入力する、計算では具体物を使うなど、学習方法を柔軟に変えることで理解が進むことがあります。
目標は「みんなと同じやり方でできること」ではなく、「その子が理解し、力を発揮できること」に置くべきです。
また、成功体験を積ませることも非常に大切です。
学習面での失敗が続くと、「どうせできない」という無力感が形成されやすくなります。
小さな進歩を具体的に認め、努力の過程を評価する関わりが自己効力感を支えます。
家庭では勉強だけに焦点を当てるのではなく、得意な分野や興味のある活動を大切にし、「できる自分」を感じられる時間を確保することが心の安定につながります。
さらに、学校との連携も欠かせません。
合理的配慮としての支援は、甘やかしではなく公平な機会保障です。
本人の特性を共有し、一貫した対応を取ることで混乱を減らすことができます。
そして保護者自身も孤立せず、専門家や同じ立場の親とのつながりを持つことが重要です。
LDは見えにくい困難であるがゆえに誤解されやすいですが、適切な理解と方法の工夫があれば、子どもは自分らしい学び方で確実に成長していきます。
育てる側に求められるのは、努力を強いることではなく、その子に合った道を一緒に探し続ける姿勢なのです。
発達障害ラボ
車 重徳