WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査を受検することには多くの意義がありますが、デメリットが全くないわけではありません。
まず考えられるのは、結果が数値として示されることによる心理的影響です。
知能指数や指標得点は客観的な指標として有用ですが、保護者や本人がその数値を「能力の限界」や「優劣の烙印」と受け取ってしまうと、自己評価や期待の持ち方に影響を及ぼす可能性があります。
特に全検査IQ(FSIQ)のみが独り歩きすると、本来は凸凹のある認知特性を立体的に理解すべきところが、単純化されてしまう危険があります。
また、検査はその時点での状態を測定するものであり、体調や不安、モチベーションの影響を受けます。
緊張が強い子どもや注意の波が大きい子どもでは、本来の力が十分に発揮されないこともあります。
その結果を絶対視してしまうと、誤った解釈につながる恐れがあります。
さらに、認知のばらつきが大きい場合、数値の扱いには専門的な解釈が必要であり、十分な説明がなければ混乱を招くこともあります。
時間的・経済的負担も無視できません。
検査は数時間に及ぶことがあり、子どもにとっては集中力を要する作業です。
医療機関で受ける場合には費用が発生することもあります。
加えて、検査後のフォローが不十分であれば、「結果は出たが支援に結びつかない」という状態になる可能性もあります。
評価だけが先行し、具体的な環境調整や指導法の改善が伴わなければ、受検の意義は薄れてしまいます。
さらに、学校や周囲が検査結果に過度に依存することも課題です。
検査はあくまで一つの情報源であり、日常の観察や学習状況と統合して理解する必要があります。
数値があることで安心する一方、数値に縛られるリスクも存在します。
しかし、これらのデメリットの多くは、検査そのものというよりも、結果の扱い方や説明の仕方に起因します。
十分なインフォームド・コンセントと丁寧なフィードバックがあれば、数値は制限ではなく理解の手がかりとなります。
WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査は万能ではありませんが、適切に活用すれば大きな支援資源となります。
重要なのは、検査を目的化せず、子どもの成長を支えるための一つの道具として位置づける姿勢なのです。
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発達障害ラボ
車 重徳