子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、親がまず大切にすべきことは、その言葉を問題としてすぐに解決しようとするのではなく、子どもの気持ちとして受け止める姿勢です。
多くの親は不安や焦りから、「どうして?」「何があったの?」と問い詰めたり、「とにかく行きなさい」と励ましたりしがちです。
しかし、子どもが発したその一言の背景には、疲労、対人関係の不安、学習のつまずき、叱責体験、いじめ、発達特性による困難など、さまざまな要因が絡んでいる可能性があります。
まずは「そうなんだね、つらいんだね」と感情を受け止めることが、安心感の土台になります。
子どもは、自分の気持ちを十分に言語化できないことも少なくありません。
特に低学年や思春期の子どもは、理由を明確に説明できないまま「行きたくない」と表現することがあります。
その場合、無理に理由を追及すると、かえって心を閉ざしてしまうことがあります。
安心できる時間をつくり、日常会話の中で少しずつ背景を探っていくことが重要です。
親の役割は、解決者というよりも、安全基地であることです。
一方で、学校に行かないことを無条件に肯定するのではなく、子どもの心身の状態を見極める視点も必要です。
明らかな体調不良や強い不安、抑うつ状態がある場合には、まず休養を優先することが望ましいでしょう。
無理に登校させることで症状が悪化することもあります。
しかし、単なる気分の波や一時的な対人トラブルの場合には、段階的な登校や短時間登校など、柔軟な方法を学校と相談しながら検討することも大切です。
また、親自身の不安のコントロールも重要な課題です。
子どもが学校に行かないことに対する社会的な目や将来への心配は当然生じます。
しかし、その不安をそのまま子どもにぶつけてしまうと、子どもは「自分のせいで親を困らせている」と感じ、さらに苦しくなります。
親が冷静さを保ち、必要に応じて学校や専門機関と連携する姿勢を見せることが、子どもの安心につながります。
学校に行きたくないという訴えは、怠けや甘えとは限りません。
むしろ、子どもが限界を知らせるサインであることも多いのです。
そのサインをどう受け止め、どう環境を調整していくかが重要です。
最終的な目標は登校そのものではなく、子どもが安心して成長できる状態を取り戻すことです。
そのためには、焦らず、責めず、子どもの心に寄り添いながら、必要な支援につなげていく姿勢が求められます。
発達障害ラボ
車 重徳