WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の処理速度指標、いわゆるPSIが低い子どもを育てる際にまず理解しておきたいのは、「遅い=能力が低い」という意味ではないということです。
処理速度は、視覚情報を素早く正確に見て、手を動かして反応する力を測る指標であり、板書の写し取りや計算のスピード、テストの時間内処理などに影響します。
PSIが低い子どもは、考える力が弱いのではなく、「速く正確にこなす」ことが苦手な傾向があります。
むしろ、時間をかければ正確にできる子どもも少なくありません。
育て方の基本は、「急がせ過ぎないこと」です。
常にスピードを求められると、不安が強まり、ミスが増え、自己肯定感が下がります。
「みんなはもう終わったよ」といった比較は大きな負担になります。
時間的な余裕を確保し、できるだけ焦らせない環境を整えることが重要です。
学校ではテスト時間の延長や課題量の調整が有効な場合もあります。
家庭でも宿題の量を一度に多く与えず、区切って取り組ませることが効果的です。
また、作業効率を上げる工夫も必要です。
板書を写すのが遅い場合は、写真を撮る、プリントを配布してもらうなどの環境調整が役立ちます。
計算問題では、問題数を減らし、正確さを重視する方が自信を守れます。
処理速度が低い子どもは、作業開始までに時間がかかることもあるため、「今から始めよう」と具体的に声をかけることが助けになります。
さらに、評価の視点を変えることが重要です。
スピードではなく丁寧さや正確さを認めることで、子どもは安心して取り組めます。
「遅いね」ではなく、「最後まできちんとできたね」と伝えることが自己効力感を支えます。
PSIが低い子どもは、急かされる場面で過度に緊張しやすく、その緊張がさらに処理速度を下げる悪循環が起きます。
安心できる雰囲気が能力発揮の前提になります
処理速度は一部の場面では弱みになりますが、じっくり考える力や慎重さとして強みにもなり得ます。
速さを基準に評価するのではなく、その子のペースを尊重する姿勢が大切です。
時間を味方にし、工夫で補いながら成功体験を積ませることが、PSIが低い子どもの自己肯定感を守り、安定した成長につながります。
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発達障害ラボ
車 重徳