565【WISC-Ⅴ】ウィスク5のワーキングメモリが低い子どもへの具体的支援法

 

WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査のワーキングメモリ指標が低いと言われたとき、多くの保護者は「うちの子は集中力がないのでしょうか」「努力不足なのでしょうか」と不安になります。

 

しかしワーキングメモリとは、単なる記憶力ではなく、「今聞いた情報を一時的に頭に置きながら処理する力」のことです。

 

つまり、先生の指示を聞いて行動に移す、計算の途中式を覚えながら答えを出す、文章を読みながら内容を理解する、といった日常的な学習活動の土台となる力です。

 

この力が弱いと、やる気がないように見えたり、すぐ忘れる子と誤解されたりしますが、本人の努力とは別の問題なのです。

 

 

 

 

具体的な支援で最も重要なのは、「頭の中だけで処理させない」ことです。

 

長い口頭指示は混乱のもとになります。

 

「宿題を出して、漢字をやって、丸付けして、明日の準備をして」という一連の指示は、一度に抱えきれません。

 

指示は短く区切り、順番に伝えます。

 

そして、チェックリストや付箋、ホワイトボードなどを活用し、情報を目に見える形にして外に出します。

 

ワーキングメモリが低い子どもほど、視覚的な手がかりが安心材料になります。

 

 

 

 

学習面では、問題数を減らすことも有効です。

 

量が多いと途中で処理が追いつかなくなり、混乱や自己否定につながります。

 

大切なのは量よりも成功体験です。

 

「最後までできた」という経験を積み重ねることで、自信が回復します。

 

また、作業を始めるまでに時間がかかることもあるため、「今から10分だけやってみよう」と時間を区切る方法も効果的です。

 

 

 

 

さらに、叱責を減らすことも重要です。

 

忘れ物や手順抜けを強く責められると、不安が高まり、ますます記憶の保持が難しくなります。

 

不安はワーキングメモリの働きを低下させるからです。

 

「どうして忘れたの」ではなく、「どうすれば忘れにくいかな」と一緒に方法を探る姿勢が支援になります。

 

 

 

 

ワーキングメモリは固定された能力ではなく、環境と戦略で補うことができます。

 

メモを取る習慣や、声に出して確認する方法などを身につければ、困り感は大きく減ります。

 

WISC-Ⅴの結果は弱点の宣告ではなく、具体的な工夫を見つけるヒントです。

 

その子の特性を理解し、頭の負担を軽くする環境を整えることが、最も実践的な支援なのです。

 

 

 

発達障害ラボ

車 重徳

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