WISC-Ⅴ(ウィスク5)の結果で「言語理解指標(VCI)が低い」と言われたとき、多くの保護者は「うちの子は頭が悪いのだろうか」と不安になります。
しかし、言語理解が低いというのは、知的能力全体が低いという意味ではありません。
言葉の意味を抽象的に捉えたり、語彙を使って考えたりする力がやや弱い傾向があるということです。
そしてこの特性は、家庭での関わり方によって大きく支え、伸ばすことができます。
まず大切なのは、「言葉だけで説明し過ぎないこと」です。
言語理解が弱い子どもは、長い口頭説明や抽象的な表現に混乱しやすい傾向があります。
「ちゃんと考えなさい」「状況を見て動いて」といった曖昧な言葉は伝わりにくいのです。
代わりに、「今は靴をそろえよう」「10分たったらゲームを終わりにしよう」といった具体的で短い表現に置き換えます。
視覚的な手がかり、例えばタイマーやメモ、絵カードなどを併用することも効果的です。
次に、日常会話を丁寧に重ねることが重要です。
ただし、無理に難しい言葉を教え込む必要はありません。
体験と結びつけながら語彙を増やしていきます。
例えば、公園で転んだときに「痛かったね」だけでなく、「びっくりしたね」「悔しかったね」と感情の言葉を添えることで、表現の幅が広がります。
子どもが使った言葉を否定せず、「そう感じたんだね」と受け止めた上で、少しだけ言葉を補足する姿勢が大切です。
また、本を読むことも有効ですが、読むこと自体が負担になる場合は無理をしないことです。
読み聞かせを通して内容について一言感想を交わすだけでも、言語理解の土台は育ちます。
質問攻めにするのではなく、「どう思った?」とゆるやかに促す程度がちょうどよいのです。
言語理解が低い子どもは、誤解されやすい側面があります。
言葉でうまく説明できないために「考えていない」と見られることもあります。
しかし実際には、理解の仕方が異なるだけです。
WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の結果は弱点の烙印ではなく、関わり方を工夫するためのヒントです。
言葉を押しつけるのではなく、安心できる対話を積み重ねること。
それが家庭でできる最も大切な支援です。
発達障害ラボ
車 重徳