「WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査を受ければ発達障害かどうか分かりますか?」という質問は、非常に多く寄せられます。
不安を抱える保護者にとって、はっきりした答えが欲しいのは当然です。
しかし結論から言えば、WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査だけで発達障害を診断することはできません。
WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査は診断テストではなく、子どもの認知特性を多面的に把握するための心理検査だからです。
WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査では、全検査IQに加えて、言語理解、視空間、流動性推理、ワーキングメモリ、処理速度といった指標が算出されます。
これらの数値から、得意な力や負担になりやすい領域を読み取ることができます。
例えば、ワーキングメモリや処理速度が低い場合、注意欠如多動症(ADHD)を疑うヒントになることがありますし、言語理解と視空間のアンバランスが自閉スペクトラム症(ASD)を示唆することもあります。
しかし、それはあくまで「傾向」です。診断を確定するものではありません。
発達障害の診断には、行動観察、発達歴の聴取、面談、場合によっては他の検査など、複数の情報を総合的に判断する必要があります。
WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の結果はその中の一つの材料に過ぎません。
例えば、IQが平均でも強い社会的困難があればASDと診断されることがありますし、IQが低くても環境要因が主な原因である場合もあります。
数値だけで決まるものではないのです。
一方で、WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査は診断の有無に関わらず非常に価値のある検査です。
診断名がつくかどうかよりも、その子がどんな特性を持ち、どんな支援が合うのかを知ることが重要です。
診断がつかなくても、認知の凸凹があれば支援の工夫は必要です。
WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査は発達障害を「見つける」ための検査ではなく、「理解する」ための検査です。
診断名を求めて受けるよりも、困りごとの背景を整理するために活用するという視点が大切です。
数値に振り回されるのではなく、その結果をどう支援につなげるか。
それこそがWISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の本当の価値なのです。
発達障害ラボ
車 重徳