「WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査のIQが高いのに成績が良くないのはなぜですか」「IQが平均なのに成績は悪くないのはおかしいですか」。
こうした疑問はとても多く寄せられます。
結論から言えば、WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の結果と学校成績は必ずしも一致しません。
似ている部分はありますが、同じものではないからです。
WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査は、言語理解、視空間、流動性推理、ワーキングメモリ、処理速度といった認知の特性を測定する検査です。
いわば「考え方の土台」を見る検査であり、学力テストではありません。
一方、学校成績は授業態度、提出物、テストの得点、家庭学習の習慣など、さまざまな要素が組み合わさって決まります。
つまり、認知能力だけでなく、努力や環境、学習習慣、対人関係なども大きく影響します。
例えば、言語理解や流動性推理が高ければ学習理解は速い傾向がありますが、ワーキングメモリや処理速度が低いと、テストでミスが増えたり時間切れになったりします。
その結果、「頭はいいのに成績が伸びない」という状況が生まれます。
逆に、IQが平均でも、コツコツ型で学習習慣が安定していれば、成績は安定することもあります。
また、指標間の凸凹が大きい場合も、成績とのズレが起こりやすくなります。
例えば、文章理解は得意でも計算スピードが遅い場合、国語は得意でも算数は苦手といった偏りが出ます。
WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査はその背景を説明してくれますが、成績そのものを保証するものではありません。
大切なのは、「一致するかどうか」よりも、「なぜ一致していないのか」を考えることです。
もし成績が伸び悩んでいるなら、どの指標が影響している可能性があるのかを見直します。
処理速度が低いなら時間配慮が必要かもしれません。
ワーキングメモリが弱いなら指示の出し方を工夫する必要があります。
WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査は未来の成績を予言する検査ではありません。
しかし、成績の背景にある特性を理解する手がかりにはなります。
数値と通知表を単純に比較するのではなく、その間にあるプロセスを見ることが、子どもに合った支援を考える第一歩なのです。
発達障害ラボ
車 重徳