子育てをしていると、夫と意見が食い違う瞬間は必ず訪れます。
叱り方、学校への対応、WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の受検の是非、療育を利用するかどうか。
どれも子どもの将来に関わるテーマだからこそ、感情が強くなります。
そして多くの場合、母のほうが日常的に子どもと向き合う時間が長く、温度差を感じやすいのも事実です。
まず大切なのは、「正しさ」で戦わないことです。
子どもを思う気持ちは、父も母も同じです。
ただ、見ている景色が違うだけなのです。
母は日々の細かな困りごとを体感しています。
一方で父は、将来像や社会適応という視点から考えることが多い傾向があります。
この違いを「無理解」と捉えると対立は深まりますが、「視点の差」と理解できれば、対話の入り口が変わります。
感情が高ぶっているときは結論を急がないことも重要です。
特に発達や検査の話題は、父親にとって「わが子が普通ではないと認めること」に近い意味を持つことがあります。
ショックや否認が反発として表れることも珍しくありません。
まずは情報を共有し、検査の目的が診断名をつけることではなく、支援を考えるためであることを丁寧に伝えることが有効です。
また、話し合いの場では「あなたは間違っている」ではなく、「私はこう感じている」という主語で伝えることが衝突を減らします。
攻撃ではなく共有の姿勢が、相手の防衛を弱めます。
もし直接の対話が難しい場合は、学校や専門家を交えた三者面談も一つの方法です。
第三者の言葉は、感情的対立を和らげる役割を果たします。
最も避けたいのは、子どもを挟んで対立することです。
両親の不一致は子どもに不安を与えます。
完全に意見が一致しなくても、「子どもを支える」という大枠での合意を確認することが大切です。
子育ての方針でぶつかることは、家族が真剣である証でもあります。
衝突は失敗ではなく、調整のプロセスです。
母がすべきことは、一人で背負うことではなく、対話を諦めないこと。
そして必要なら支援を借りることです。
子どもの未来は、勝ち負けではなく、協力の中で育っていくのです。
発達障害ラボ
車 重徳