「このままでは手を出してしまいそう」
「怒りが止まらない」
そんな瞬間が訪れたとき、母は深い恐怖と自己嫌悪に包まれます。
しかしまず伝えたいのは、その『気づき』がある時点で、あなたは踏みとどまろうとしているということです。
本当に危険なのは、衝動に気づかず行動してしまうことです。
「してしまいそう」と自覚していること自体が、守ろうとする力の証です。
強い怒りの多くは、疲労と孤立の積み重ねから生まれます。
発達特性のある子どもとの生活では、想定外の出来事が続き、何度も同じ注意を繰り返す場面があります。
「どうして分からないの」と感じるたびに、心はすり減っていきます。
怒りは悪ではありません。
限界を知らせるサインです。
ただし、行動に移す前に止める仕組みが必要です。
まずは物理的距離を取ることが最優先です。
子どもから離れ、深呼吸を繰り返し、可能なら部屋を変える。
衝動は永遠に続きません。
数分でも距離を取れば、波は必ず弱まります。
次に、信頼できる人に連絡を入れることです。
配偶者、家族、友人、支援者、どんな形でも構いません。
声に出すことで、感情は整理され始めます。
また、日常的な負担を減らす工夫も欠かせません。
療育やショートステイ、一時的な預かり支援など、制度を利用することは甘えではありません。
親が限界を超えないことこそ、子どもを守る最善策です。
もし衝動が頻繁に起こるなら、専門家への相談をためらわないでください。
カウンセリングや医療的サポートは、予防のための選択です。
大切なのは、「こんな自分は母失格だ」と決めつけないことです。
怒りを感じることと、虐待することは別です。
行動を止めようとしているあなたは、すでに守る側に立っています。
完璧な母である必要はありません。
限界を感じたときに助けを求めることが、最も責任ある行動です。
あなたの心が守られることが、子どもの安全につながります。
まずは今日、衝動を越えずに過ごせたことを、自分で認めてください。
それが何より大切な一歩です。
発達障害ラボ
車 重徳