WAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査の結果を活かして生きていくとはどういうことなのか
大人になってからWAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査を受けた人の多くが、検査結果を見て複雑な気持ちになります。
「なぜ今まで生きづらかったのか分かった」という安心感を抱く人もいれば、「こんなに凸凹があったのか」とショックを受ける人もいます。
しかし、本当に大切なのは検査結果そのものではなく、その結果をどう人生に活かしていくかです。
WAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査は、成人版の知能検査です。言語理解指標(VCI)、知覚推理指標(PRI)、ワーキングメモリ指標(WMI)、処理速度指標(PSI)を測定し、自分の認知特性を客観的に把握することができます。
例えば、言語理解が高い人は、言葉を使って考えることや説明することが得意な傾向があります。
一方で処理速度が低い場合、理解はできているのに仕事のスピードが周囲より遅くなりやすいという特徴があります。
このような人は、学生時代から「頭は良いのに仕事が遅い」「やればできるのに」と言われ続けてきたかもしれません。
しかし、WAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査の結果を知ることで、その原因が努力不足ではなく認知特性によるものであることが分かります。
ここで勘違いしてはいけないのは、「処理速度が低いから私はダメな人間だ」という考え方です。
WAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査は欠点を探すための検査ではありません。
自分の取扱説明書を作るための検査なのです。
例えば処理速度が低いのであれば、スピード勝負の仕事よりも、じっくり考える仕事の方が向いているかもしれません。
ワーキングメモリが低いのであれば、メモやタスク管理ツールを積極的に活用することで能力を発揮しやすくなります。
逆に言語理解が高いのであれば、説明や教育、営業、相談援助などの仕事で強みを発揮できる可能性があります。
また、WAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査の結果を活かすとは、自分を責める材料を減らすことでもあります。
これまで「どうして自分はできないのだろう」と悩んでいたことが、「脳の特性だったのか」と理解できるだけで、自己肯定感が大きく回復することがあります。
実際、発達障害の診断を受けた大人の方の中には、「診断名よりもWAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査の結果の方が役に立った」と話す人も少なくありません。
診断名はカテゴリーを示しますが、WAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査は自分自身の具体的な強みと弱みを教えてくれるからです。
人生は、自分の苦手をゼロにするゲームではありません。
自分の強みを活かしながら、苦手を工夫で補うゲームです。
WAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査の結果を活かして生きるということは、自分を変えようとすることではなく、自分を理解し、自分に合った生き方を選択していくことなのです。
検査結果は人生の評価表ではありません。
それは、自分らしく生きるための地図なのです。
その地図を正しく読み解けたとき、これまでの生きづらさは「欠点」ではなく「特性」として理解できるようになり、人生は少しずつ楽になっていくのです。
発達障害ラボ
車 重徳