WAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査の結果が高いのに「生きにくい」と感じてしまう理由とは
WAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査を受けて、
「IQが高いですね」
「とても優秀な結果ですね」
と言われたにもかかわらず、
「なぜか生きづらい」
「毎日が苦しい」
と感じている人は少なくありません。
一般的に、IQが高い人は人生がうまくいくと思われがちです。
しかし、実際に相談現場で多くの大人の発達障害や生きづらさに向き合っていると、
「IQが高い=生きやすい」
という考え方は必ずしも正しくないことが分かります。
むしろ、WAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査の結果が高い人の中には、長年にわたって強い孤独感や自己否定感を抱えながら生きている人も少なくありません。
その理由の一つは、「できること」と「求められること」のギャップです。
例えば、言語理解指標が非常に高い人は、物事を深く分析したり、本質を見抜いたりする力があります。
しかし、周囲の人がそこまで深く考えていない場合、
「なぜみんな分からないのだろう」
「なぜこんな非効率なことをするのだろう」
と感じてしまいます。
その結果、人間関係で孤立したり、自分だけが浮いているような感覚を持ったりすることがあります。
また、IQが高い人ほど、自分自身に対する期待値も高くなります。
周囲から「頭が良いのだからできるでしょ」「あなたなら大丈夫」と言われ続けると、自分も同じように考えるようになります。
しかし現実には、仕事のミスをしたり、人間関係で失敗したり、感情をコントロールできなかったりすることがあります。
すると、「こんなこともできない自分はダメだ」と強く自分を責めてしまうのです。
さらに、WAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査では全検査IQが高くても、指標間に大きな差があるケースが少なくありません。
例えば、言語理解は非常に高いのに、処理速度が低い人がいます。
この場合、頭の中では完璧に理解しているのに、仕事のスピードが追いつきません。
周囲からは「能力があるのになぜやらないの?」と思われ、本人は「やりたいのにできない」と苦しみます。
また、ワーキングメモリが弱い人は、高い知的能力を持ちながらも、日常生活では忘れ物やケアレスミスに悩まされることがあります。
つまり、生きにくさとはIQの高さや低さだけで決まるものではなく、自分の認知特性と環境との相性によって生まれるものなのです。
実際、相談現場ではIQ130を超える人が強い抑うつ状態になっていることもあれば、平均的なIQでも自分らしく幸せに生きている人もいます。
大切なのは、IQが高いことを人生のゴールにしないことです。
WAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査の結果が高かったときに本当に考えるべきことは、「私は何が得意なのか」ではなく、「私はどのような環境なら力を発揮できるのか」ということです。
WAIS-Ⅳ(ウェイス4)の結果は、自分の価値を示すものではありません。
それは、自分自身の取扱説明書です。
IQが高いのに生きにくいのは、あなたが弱いからでも努力不足だからでもありません。
単に、自分の特性に合わない環境の中で頑張り続けてきただけかもしれないのです。
だからこそ、WAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査の結果を見たときは、数値の高さに一喜一憂するのではなく、「自分らしく生きるためのヒント」として活用してほしいと思います。
それこそが、検査結果を人生に活かすということなのです。
発達障害ラボ
車 重徳