「幸せ」になるために必要なこととは何か
「幸せになりたい」
これは子どもも大人も、誰もが願うことです。
しかし、「幸せとは何か」と改めて聞かれると、明確に答えられる人は意外と多くありません。
良い学校に入ることなのでしょうか。
高いIQを持つことなのでしょうか。
お金をたくさん稼ぐことなのでしょうか。
それとも、発達障害がないことなのでしょうか。
私はこれまで、WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査やWAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査などの知能検査を通じて、多くの子どもや大人と出会ってきました。
その中で強く感じることがあります。
それは、「幸せ」と知能指数は必ずしも一致しないということです。
実際、IQが非常に高い人でも、生きづらさを抱えている人はたくさんいます。
反対に、知能検査の結果が平均的であっても、毎日を楽しそうに生きている人もいます。
では、幸せを決めるものは何なのでしょうか。
その答えの一つは、「自分を理解していること」です。
人は、自分に向いていないことを無理に続けると苦しくなります。
逆に、自分の得意なことや好きなことを活かせる環境にいると、生きやすくなります。
WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査やWAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査の検査結果は、そのためのヒントになります。
例えば、処理速度が低い人は、スピード勝負の環境では苦しみやすいかもしれません。
しかし、じっくり考えることが求められる環境では能力を発揮できます。
つまり、大切なのは能力の高さではなく、自分の特性に合った生き方を見つけることなのです。
また、幸せには「安心できる人間関係」も欠かせません。
どれだけ優秀でも、どれだけお金を持っていても、自分を理解してくれる人が誰もいなければ、人は孤独になります。
反対に、家族や友人、職場の仲間など、自分をそのまま受け入れてくれる人がいるだけで、人は驚くほど強くなれます。
さらに重要なのは、「他人と比較しすぎないこと」です。
現代はSNSの影響もあり、他人の成功ばかりが目に入ります。
あの人より成績が悪い。
あの人より収入が少ない。
あの人の子どもの方が優秀だ。
そうやって比較を続けると、どれだけ恵まれていても幸せを感じることはできません。
なぜなら、上には必ず上がいるからです。
本当の幸せとは、他人との比較の中にあるのではなく、「昨日の自分より少し成長できた」と感じられることの中にあります。
そしてもう一つ大切なことがあります。
それは、「完璧を目指さないこと」です。
発達障害の子どもを育てている保護者の方の中には、「もっと頑張らなければ」「もっと良い親にならなければ」と自分を追い込んでいる人がたくさんいます。
しかし、人は完璧になれません。
失敗もするし、落ち込むこともあります。
それでも、自分を責め続けるのではなく、「今日はこれで十分だった」と認めることができる人ほど、幸せに近づいていきます。
幸せとは、特別な才能を持つことでも、高いIQを持つことでもありません。
自分を理解し、自分を受け入れ、自分に合った場所で生きること。
そして、自分を大切にしてくれる人とつながりながら、今日という一日を穏やかに過ごせること。
それこそが、本当の意味での「幸せ」なのではないでしょうか。
発達障害ラボ
車 重徳