「不幸」になる人の特徴とは何か
「幸せになりたい」と願う人はたくさんいます。
しかし、不思議なことに、幸せになる方法を探している人は多くても、「なぜ不幸になるのか」を考える人はあまり多くありません。
実は心理学の世界では、幸福を増やす方法を考えることと同じくらい、不幸を生み出す考え方や行動パターンを理解することが重要だと言われています。
もちろん、不幸になる理由は人それぞれです。
病気や障害、経済的な問題、人間関係など、自分の努力だけではどうにもならないこともあります。
しかし、そのような状況の中でも比較的穏やかに生きている人がいる一方で、恵まれた環境にいても苦しみ続ける人がいるのも事実です。
では、その違いはどこにあるのでしょうか。
私がこれまで発達障害支援や心理支援の現場で多くの方と関わる中で感じるのは、「不幸になりやすい人」には共通する思考パターンがあるということです。
その一つが、「他人と比較し続けること」です。
SNSを見れば、自分より成功している人がたくさんいます。
成績が良い子ども、有名な学校に進学した子ども、高収入の人、幸せそうな家族。
比較を始めれば終わりはありません。
そして比較の怖いところは、自分が持っているものではなく、自分が持っていないものばかりに目が向くことです。
すると、どれだけ恵まれていても幸せを感じられなくなります。
また、「完璧でなければ価値がない」と考える人も苦しみやすい傾向があります。
発達障害の子どもを育てている保護者の中には、「もっと頑張らなければ」「良い母親でいなければ」と自分を追い込み続ける人がいます。
しかし、人間は失敗する生き物です。
完璧を目指し続ける人生は、ゴールのないマラソンを走り続けるようなものです。
さらに、「自分を理解しないまま生きること」も不幸につながります。
WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査やWAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査などの知能検査を受けた人の中には、「なぜ今まで苦しかったのか分かった」と話す人がいます。
それは、自分の苦手や得意を理解できたからです。
反対に、自分の特性を知らずに他人と同じやり方を続けると、失敗体験ばかりが積み重なります。
例えば、処理速度が低い人が常にスピード勝負の環境で働けば苦しくなります。
ワーキングメモリが弱い人がメモを取らずに頑張り続ければ失敗が増えます。
つまり、不幸になる人とは、能力が低い人ではありません。
自分に合わない環境の中で、自分を責め続けている人なのです。
そして最後に、不幸になりやすい人にはもう一つ共通点があります。
それは、「助けを求めないこと」です。
苦しいのに相談しない。
辛いのに我慢する。
一人で抱え込む。
人は一人で生きるようにはできていません。
本当に強い人とは、全部自分で解決できる人ではなく、必要なときに誰かを頼れる人です。
不幸とは、才能の有無や知能指数によって決まるものではありません。
比較し続けること、自分を責め続けること、自分を理解しないこと、そして一人で抱え込むこと。
こうした生き方が少しずつ心を苦しめていくのです。
だからこそ幸せになるためには、他人と競争することではなく、自分を理解し、自分を認め、自分に合った生き方を選ぶことが大切なのではないでしょうか。
発達障害ラボ
車 重徳